永住希望者は一時帰国の出国期間に注意!

永住希望者は一時帰国の出国期間に注意!

今日のおはなし

永住許可要件の居住要件ってなに?

いつか日本の永住権をとりたい!と思っている方は、永住許可の要件を満たす必要があります。

  • 法律順守などを求められる素行善良要件
  • 安定した自活能力や公共の負担とならないことが求められる独立生計要件
  • 一定の居住や国の利益となることが求められる国益適合要件

これらの要件はそれぞれ細かく規定されており、それぞれに対する証明・疎明・説明が書面にて求められ、また審査についても厳格で慎重な審査が行われます。

国益適合要件のひとつとして、永住申請者には原則、引き続き10年以上日本に有効な在留資格をもって居住していることが求められており、これを「居住要件」と呼んでいます。

「引き続き」ってどういう意味??

在留資格が途切れることなく、日本に継続して10年在留している状態を意味しています。出国が多いと、この継続性が認められなくなり、10年以上日本にいるのに居住要件を満たしていないと判断されることがあります。

また、この居住要件には「原則」とあるように、特例的に居住歴が10年に満たなくても、以下のような場合には永住申請が許可されることがあります。

居住要件の特例
特例
日本人の配偶者・永住者の配偶者・特別永住者の配偶者

日本人の配偶者・永住者の配偶者・特別永住者の配偶者の場合には、

実体を伴った婚姻生活が3年以上継続 + 引き続き1年以上日本に在留

していれば、居住歴が10年に満たなくても、永住許可がもらえます。

例えば、次の場合はどちらも、居住要件はクリアしていることになります。

  • 日本人と3年以上前に結婚し、3年以上日本で一緒に生活している場合
  • 日本人と結婚後、2年以上海外で一緒に生活し、その後1年以上日本で一緒に生活している場合

「実態を伴った」とありますので、一緒に住んでいることが原則となります。
もしも別居している場合には、合理的な理由があることを理由書等で審査官に伝えましょう。

特例
日本人の実子・永住者の実子・特別永住者の実子

実子の場合は、「1年以上日本に継続して在留していれば、居住要件を満たしている」と認められます。

養子の場合も1年以上日本に継続して在留していれば居住要件を満たすとされていますが、普通養子ではなく、家庭裁判所に申し立てを行い、成立すると実親との親族関係が解消される「特別養子」のみとなっていますので注意しましょう。

特例
在留資格「定住者」ビザをお持ちの方

在留資格が「定住者」の方は、定住者となってから5年以上継続して日本で生活していれば、居住要件を満たすこととされています。

また、もともと「日本人の配偶者等」のビザを持っていた方が、離婚や死別によって「定住者」に変更した場合などには、「日本人の配偶者等」で日本に住んでいた期間と合わせて5年以上経過していれば、永住申請できます。

特例
難民認定を受けている場合

難民の認定を受けた方の場合、認定後5年以上継続して日本に住んでいれば、居住要件を満たすこととなっています。

特例
日本への貢献があると認められた場合

外交、社会、経済、文化等の分野において日本への貢献があると認められた方は、5年以上日本に住んでいれば居住要件を満たすことができます。日本への貢献については、下記ガイドラインにて分野ごとに具体的な説明がありますので、確認しましょう。

我が国への貢献に関するガイドライン

特例
地域再生法関連活動により、日本への貢献が認められた場合

地域再生法に基づき認定された地域再生計画において明示された同計画の区域内の公私の機関において、特定活動告示第36号(特定研究等活動)または第37号(特定情報処理活動)のいずれかに該当する活動を行い、その活動によって日本への貢献があると認められる方は、引き続き3年以上継続して日本に住んでいれば、居住要件を満たすことができるとされています。

特例
高度専門職でポイント70点以上

高度専門職など「高度人材」として日本で活動を行っている場合、活動の区分に応じたポイント計算を行い、計算結果が70点以上であれば、3年以上継続して日本に住んでいることで居住要件を満たします。

ポイント計算(Excel)はこちら
ポイント計算(PDF)はこちら

3年前の時点でも70点以上であったことが求められますので、現在のポイント計算表を使用して、3年前の状況でも計算してみましょう。また、疎明資料(加点した項目の証拠となる資料)も必要となりますので、準備しておきましょう。

ちなみに、現在「高度専門職1号」以外の在留資格をお持ちの方でも、永住許可申請から3年前の時点で高度人材ポイントが70点以上あれば、高度専門職への変更を経ることなく、この居住要件短縮の特例を使って永住申請が可能です。

特例
高度専門職でポイント80点以上

高度専門職など「高度人材」として日本で活動を行っている場合、活動の区分に応じたポイント計算を行い、計算結果が80点以上であれば、1年以上継続して日本に住んでいることで居住要件を満たします。

ポイント計算(Excel)はこちら
ポイント計算(PDF)はこちら

1年前の時点でも80点以上であったことが求められますので、現在のポイント計算表を使用して、1年前の状況でも計算してみましょう。また、疎明資料(加点した項目の証拠となる資料)も必要となりますので、準備しておきましょう。

ちなみに、現在「高度専門職1号」以外の在留資格をお持ちの方でも、永住許可申請から1年前の時点で高度人材ポイントが80点以上あれば、高度専門職への変更を経ることなく、この居住要件短縮の特例を使って永住申請が可能です。

日本を長く離れると、永住申請に影響する?

居住要件には「引き続き」とあるように、在留資格が途切れることなく、日本に継続して10年在留している状態が認められないと、居住要件を満たしているとは言えません。

海外旅行などで数日程度日本を離れるのは問題ありませんが、長期の海外出張があったり、本国へ出産のために帰省した場合などには居住歴がリセットされてしまう可能性があります。具体的には以下に該当する場合には居住年数がリセットされてしまう恐れがありますので注意しましょう。

  • 再入国許可の期限を過ぎて海外に滞在してしまったことがある
  • 更新申請で不許可となり、出国準備(30日)となってしまった
  • いままでに1回の出国で90日以上日本を離れた
  • 年間出国日数が合計で100日以上となった

ただし、永住申請は帰化申請より厳格ではなく、リセットでもまた再び居住要件を1から満たさないといけないというわけではありません。1年での出国が120日程度であれば、出国の合理的な理由を説明することでカバーすることは可能です。その他、日本における所有不動産の有無や子供が日本の学校に通っているなど日本との強い結びつきがあれば、永住申請の際には書き加えておくべきです。日本に生活の基盤があること、日本にただ住みたいという願いも大事ですが、「これからも日本に住む必要がある」という明確な理由があり、その具体的信憑性が認められれば、許可される可能性はあります。

また、コロナウイルス感染症などの事情で日本に帰って来られなかった場合など、一概にその期間がリセットされるとは言えませんので、申請の際には、審査官への説明を理由書等で明確に伝えるようにしましょう。

再入国許可とみなし再入国許可

永住許可要件の居住要件を満たすには日本に居住することの「継続性」が必要になってきます。1回3か月以上の長期出国や年間計100日以上の細かい出国などがあると継続性が認められなくなる可能性があり、後の永住申請の際に影響がでてきます。

日本での活動を続ける予定の外国人は、一時的に日本から出国する際には「再入国許可」や「みなし再入国許可」の手続きを経て出国・再入国を行うと思いますが、たとえ許可された期間内に日本に戻ってきた場合でも、長期出国がある場合には居住要件のリセットの対象となってしまい、永住審査においては不利に働く可能性があります。

再入国許可・みなし再入国許可について

再入国許可の制度は、日本に在留している外国人が一時的に日本を離れてまた日本に帰ってくる予定がある場合に、出入国在留管理局(入管)にいつ日本を出国して、いつ日本に帰ってくる予定なのかを予め伝えて許可を得ることで、入国の際の手続きを簡略化することができる制度です。再入国許可の有効期限は、最長5年(特別永住者は最長6年)再入国許可を得ることができます。ただし、現在の在留資格の有効期限が許可された再入国許可の期間より短い場合には、在留期間満了日までに日本に戻らなければいけません。

再入国許可の種類には、「1回限り有効なもの(シングル)」と「数次有効なもの(マルチ)」の2種類があります。

「シングル」は許可された期間内に1回限り、出国前と同じ在留資格で日本に再入国できます。「マルチ」は許可された期間内であれば、何度でも出国前と同じ在留資格で日本に再入国できますが、法務大臣が申請の内容を加味して、相当と認められた場合に限って取得できます。

また、2012年7月にはみなし再入国許可制度が新設されました。出国日から1年以内(特別永住者は2年以内)であれば、従来の再入国許可の申請手続きを経なくても、出国時の簡単な手続きのみで再入国ができるようになりました。

もし、外国人が「再入国許可」や後述する「みなし再入国許可」を受けずに出国した場合には、保有している在留資格や在留期間を放棄したことになり、在留資格は消滅してしまいます。そうなると、再び日本に入国しようとする場合には、改めて査証申請の手続きを行わなければなりません。新たに査証を取得した上で、上陸申請を行い上陸審査手続を経て上陸許可を受けることとなりますので、非常に時間がかかります。

一方、再入国許可・みなし再入国許可を受けた外国人は、通常必要とされる査証が免除されます。また、再入国許可を受けて再入国した後は、以前の在留資格・在留期間が継続しているとみなされ、出国前と同じように日本での活動ができます。

日本に戻ってくる予定がある方は、必ず再入国許可・みなし再入許可どちらかの手続きをするようにしましょう。

出産や育児で数次有効な再入国許可を取り、母国に帰る予定です。育児が落ち着いたら日本に戻り永住申請を行う予定ですが、永住審査ではこのような事情は居住要件の判断の際に考慮されるのでしょうか?

出産や育児で母国にいる両親の手を借りるために一時帰国するといった「里帰り出産」などの場合も、現在の永住審査においては事情は考慮されず、居住要件としてはネガティブに働く傾向にあります。マルチでの(数次有効な)再入国許可を得て入国と出国を繰り返す予定の場合でも全体を通して出国日数が多い場合には、永住審査においては居住の継続性が認められない可能性があります。

ただし、永住審査は総合的に判断されますのでそれのみをもって不許可となるわけではありません。その他の年で出国がどのくらいあったのか、また、理由書の書き方や合理的な理由を説明できる資料などでカバーできる可能性もあります。

まとめ

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