過去に犯罪歴がある場合でも永住申請はできるの?素行善良要件の概要とは

過去に犯罪歴がある場合でも永住申請はできるの?素行善良要件の概要とは

今日のおはなし

素行善良要件の概要

永住ビザを申請する外国人は、「素行が善良であること」が求められます。
具体的には、

  • 法律を守って生活していること
  • 生活する上で迷惑行為などを繰り返し行っていないこと

が挙げられます。

しかし、過去に犯罪行為があったからといって、すぐに永住を諦めなければいけないわけではなく、
犯罪行為の内容が重要であり、その結果次第でも取り扱いは大きく異なります。

犯罪行為の内容は、暴行、傷害、窃盗、詐欺、薬物系犯罪など、どれにあたるか、また、スピード超過や人身事故、一時停止違反などの交通違反だったのか…

犯罪行為の結果、前科がついたのか、前歴のみだったのか、起訴されたのか、起訴猶予となったのか
反則金となったのか、罰金刑だったのか、実刑だったのか、執行猶予となったのか…

などなど、永住申請をする際には、慎重に確認する必要があります。

また、刑を受けた場合でも、その後一定期間を経過すれば、素行善良要件をクリアできる可能性もあります。
これも内容や結果によりますが、軽微な犯罪や罰金刑であれば、刑の執行を終えてからその後5年(執行猶予を宣告された方は執行猶予期間を終えてから5年)を素行善良に過ごすことで、再び永住許可のチャンスが生まれると考えてよいでしょう。

素行善良要件には、「日常生活や社会生活において、風紀を乱すような行為を繰り返し行っていないこと」も含まれています。信号無視や駐停車違反など交通違反での反則金や街宣活動で注意を何度も受けている場合など、繰り返し行うと永住不許可につながる要因となりますので、普段の生活にも注意しましょう。

交通違反(道路交通法違反)がある場合は大丈夫?

交通違反については、罰金か反則金かで取り扱いが異なります。

罰金とは刑事処分として科せられるもので、罰金は懲役刑や禁固刑と同一線上にあるものです。通常の刑事事件として扱われますので前科が付きます。罰金を支払う場合は反則金よりも重い交通違反の場合で、いわゆる「赤キップ」が発行された場合です。

罰金が科せられる交通違反の例
  • 危険運転致死
  • 酒酔い運転
  • 麻薬等運転
  • 無免許運転
  • 速度超過(一般道路30km/h以上、高速道路40km/h以上)

軽微な交通違反による「反則金」については、罰金刑とは取り扱いが異なります。

反則金とは行政処分として科せられるもので、交通反則告知書(いわゆる青キップ)が発行されます。この場合は反則金を支払うことで刑事手続きが免除され、前科がつくこともありません。比較的軽い交通違反の場合が多いですが、何度も違反を繰り返している場合は「素行が善良である」とは認められなくなりますので十分に注意しましょう。

反則金が科せられる交通違反の例
  • 信号無視
  • 駐停車違反
  • 携帯電話使用
  • 騒音運転
  • 整備不良
  • 速度超過(一般道路30km/h未満、高速道路40km/h未満)
  • 自転車の違反

罰金刑となった場合には、永住許可がでるまでに刑の執行を終えてから最低5年は素行善良に過ごす必要があります。
5年後に改めて永住申請を検討される際には、その後5年間違反がなかった実績の証明として「運転記録証明書」を反省文とともに提出しましょう。

1点減点程度の軽微なものが2~3回程度であれば、永住申請に問題はありませんが、同様の違反が多い場合や累積で免停や罰金となってしまった場合には、総合的に「素行善良」とは言えず、永住不許可の原因となる可能性は大いにあります。

日ごろから、車やバイク、自転車を運転する場合には注意しましょう。交通違反を覚えていない場合には、最寄りの警察署で「運転記録証明書」を取得し、過去5年分の正しい経歴を確認することができます。

永住申請をする申請人の夫や妻に法律違反がある場合

たとえば「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」のビザで日本に在留している方が永住申請をする場合には、申請人の配偶者である日本人側・永住者側の素行面についても審査されますので、配偶者が犯罪を犯している場合などには申請人が永住申請を行っても許可される可能性は低いと言えます。

「家族滞在」ビザを持つ方に法律違反がある場合

また、申請者が「技術・人文知識・国際業務」などのビザで、扶養・同居している方が「家族滞在」ビザをお持ちの場合など「家族滞在」ビザをお持ちの方の素行要件は本体(技術・人文知識・国際業務)の申請者にも影響がでます。犯罪や交通違反だけではなく、

  • 資格外活動の許可を得ず行っている
  • 28時間/週を超えて働いている
  • 扶養の範囲を超えて働いている
  • 扶養を外れている場合、年金税金等を遅れなく納付できていない

なども本体(就労ビザ等)の永住申請に不利な影響を与えます。国益要件についても同様です。

同居・扶養内の両親・養親に法律違反がある場合

同居または扶養に入っている親や養親についても素行面が申請人本人の永住申請の審査に影響します。
税金や年金等を納めているか、逮捕歴があるかどうかを確認する必要があります。

また、親が会社を経営している場合などには、会社が社会保険に加入しているか確認しましょう。
法人の社会保険加入義務を満たしていない場合にも永住申請に不利に働きます。

永住許可を取った後の犯罪

永住許可を受けた後の犯罪行為によって、永住権が取消になる場合もあります。永住権を取り消される最も典型的なケースは、再入国許可を取らず日本を離れ1年を超えてしまった場合もしくは、再入国許可の期限をうっかり過ぎてしまった場合ですが、

後から虚偽申請・偽造書類で申請し在留許可を受けたことが発覚した場合も、取り消されることがあります。
さらに、麻薬・覚醒剤・売春などの罪を犯し、一定の刑罰に処せられた場合にも永住許可が取り消されることがありますので、注意しましょう。

まとめ

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