永住申請における居住要件の特例
永住申請における居住要件の特例
要件「原則10年在留」に関する特例
永住許可の要件のひとつに国益要件(その者の永住が日本国の利益に適合すると認められること)がありますが、
具体的には次の6つの条件を満たす必要があります。
- 原則、引き続き10年以上日本に住んでいる
- 上記10年以上の期間のうち、就労資格か居住資格で引き続き5年以上在留している
- 罰金刑や懲役刑などを受けていない
- 住民税、国税などの納税年金、健康保険料の納付、入管法上の届出義務など、公的義務を適正に行っている
- 現在持っている在留資格の在留期間が3年以上
- 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがない
今日はその中の重要な項目のひとつ「原則、引き続き10年以上日本に住んでいること」について説明し、
特例的に居住歴が10年に満たなくても、永住申請が許可される場合についてお話します。
「原則、引き続き10年以上日本に住んでいること」の意味
正式には、「原則として引き続き10年以上本邦に在留していること」が求められます。
これは、永住許可要件のなかの、「居住要件」と呼ばれるものです。
「引き続き」とあるように、10年の間継続して在留していると認められることが必要です。
たとえば、海外旅行などで数日程度日本を離れるのは問題ありませんが、
次の場合などは居住歴がリセットされてしまう可能性があります。
- 再入国許可の期限を過ぎて海外に滞在してしまった場合
- 更新申請で不許可となり、出国準備(30日)となってしまった場合
- いままでに1回の出国で90日以上日本を離れた場合
- 年間出国日数が合計で100日以上になる場合
ただし、永住申請は帰化申請より厳格ではなく、リセットでもまた再び10年間を過ごさないと許可がでないというわけではありません。例えば、100日以上の出国が10年間のうち1年のみであれば、11年目の出国を少なく日本で過ごすことで、次の年に永住許可が認められる可能性は大いにあります。また、コロナなどの事情で日本に帰って来られなかった場合など、一概にその期間がリセットされるとは言えませんので、申請の際には、審査官への説明を理由書等で明確に伝えるようにしましょう。
また、この居住要件には「原則」とあるように、特例的に居住歴が10年に満たなくても永住申請が許可されることがありますので、「永住申請における居住要件の特例」を紹介します。
永住申請における居住要件の特例
ここでは、居住要件である10年に満たなくても、特例的に永住申請が許可される例を見てみましょう。
日本人の配偶者・永住者の配偶者・特別永住者の配偶者の場合には、
実体を伴った婚姻生活が3年以上継続 + 引き続き1年以上日本に在留
していれば、居住歴が10年に満たなくても、永住許可がもらえます。
例えば、次の場合はどちらも、居住要件はクリアしていることになります。
- 日本人と3年以上前に結婚し、3年以上日本で一緒に生活している場合
- 日本人と結婚後、2年以上海外で一緒に生活し、その後1年以上日本で一緒に生活している場合
「実態を伴った」とありますので、一緒に住んでいることが原則となります。
もしも別居している場合には、合理的な理由があることを理由書等で審査官に伝えましょう。
実子の場合は、「1年以上日本に継続して在留していれば、居住要件を満たしている」と認められます。
養子の場合も1年以上日本に継続して在留していれば居住要件を満たすとされていますが、普通養子ではなく、家庭裁判所に申し立てを行い、成立すると実親との親族関係が解消される「特別養子」のみとなっていますので注意しましょう。
在留資格が「定住者」の方は、定住者となってから5年以上継続して日本で生活していれば、居住要件を満たすこととされています。
また、もともと「日本人の配偶者等」のビザを持っていた方が、離婚や死別によって「定住者」に変更した場合などには、「日本人の配偶者等」で日本に住んでいた期間と合わせて5年以上経過していれば、永住申請できます。
難民の認定を受けた方の場合、認定後5年以上継続して日本に住んでいれば、居住要件を満たすこととなっています。
外交、社会、経済、文化等の分野において日本への貢献があると認められた方は、5年以上日本に住んでいれば居住要件を満たすことができます。日本への貢献については、下記ガイドラインにて分野ごとに具体的な説明がありますので、確認しましょう。
地域再生法に基づき認定された地域再生計画において明示された同計画の区域内の公私の機関において、特定活動告示第36号(特定研究等活動)または第37号(特定情報処理活動)のいずれかに該当する活動を行い、その活動によって日本への貢献があると認められる方は、引き続き3年以上継続して日本に住んでいれば、居住要件を満たすことができるとされています。
高度専門職など「高度人材」として日本で活動を行っている場合、活動の区分に応じたポイント計算を行い、計算結果が70点以上であれば、3年以上継続して日本に住んでいることで居住要件を満たします。
ポイント計算(Excel)はこちら
ポイント計算(PDF)はこちら
3年前の時点でも70点以上であったことが求められますので、現在のポイント計算表を使用して、3年前の状況でも計算してみましょう。また、疎明資料(加点した項目の証拠となる資料)も必要となりますので、準備しておきましょう。
ちなみに、現在「高度専門職1号」以外の在留資格をお持ちの方でも、永住許可申請から3年前の時点で高度人材ポイントが70点以上あれば、高度専門職への変更を経ることなく、この居住要件短縮の特例を使って永住申請が可能です。
高度専門職など「高度人材」として日本で活動を行っている場合、活動の区分に応じたポイント計算を行い、計算結果が80点以上であれば、1年以上継続して日本に住んでいることで居住要件を満たします。
ポイント計算(Excel)はこちら
ポイント計算(PDF)はこちら
1年前の時点でも80点以上であったことが求められますので、現在のポイント計算表を使用して、1年前の状況でも計算してみましょう。また、疎明資料(加点した項目の証拠となる資料)も必要となりますので、準備しておきましょう。
ちなみに、現在「高度専門職1号」以外の在留資格をお持ちの方でも、永住許可申請から1年前の時点で高度人材ポイントが80点以上あれば、高度専門職への変更を経ることなく、この居住要件短縮の特例を使って永住申請が可能です。