家族滞在ビザから永住ビザを取るための条件とは?
家族滞在ビザから永住ビザを取るための条件とは?
家族滞在ビザとは?
まず、家族滞在ビザがどういった在留資格(ビザ)なのか見てみましょう
入管法別表第一の一の表の教授、芸術、宗教、報道、二の表の高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号、三の表の文化活動又はこの表の留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動
該当例としては、在留外国人が扶養する配偶者・子
(出入国在留管理庁HPより引用)
この引用文から分かるように、家族滞在ビザというのは、「技術・人文知識・国際業務」に代表される就労系資格とその他一部の在留資格をもつ外国人に扶養されて日本で生活する方向けの在留資格です。
家族滞在ビザで資格外活動許可をとって就労している方は多いですが基本的には就労を予定しているビザではありません。つまり、本体である扶養者の在留資格に紐づいている前提でのみ認められる在留資格と言えます。
家族滞在ビザから永住申請はできる?
前項で確認した通り、「家族滞在」ビザは本体である扶養者の在留資格に紐づいている前提で認められている在留資格です。そのため、家族滞在ビザの方が単独で永住申請をすることはできません。
しかし、本体とされる「技術・人文知識・国際業務(技人国)」などのビザをお持ちの扶養者が永住申請をする時に、付随するようなかたちで同時に永住申請をすることはできます。もしも、本体者である技人国の扶養者と一緒に永住申請をしない場合、家族滞在ビザの方は結構大変なことになります。もう一度、家族滞在ビザを紐づけられる本体者の在留資格を見てみましょう。
- 教授
- 芸術
- 宗教
- 報道
- 高度専門職
- 経営・管理
- 法律・会計業務
- 医療
- 研究
- 教育
- 技術・人文知識・国際業務
- 企業内転勤
- 介護
- 興行
- 技能
- 特定技能2号
- 文化活動
- 留学
このように、家族滞在ビザは「高度専門職」や「技人国」や「技能」といった主に就労系在留資格に紐づく(扶養される)ものと定義されていますので、「永住者」に紐づく在留資格ではないことが分かります。
そのため「高度専門職」や「技人国」や「技能」などの本体者と同時に永住申請せず、本体者だけが先に永住者となってしまうと、家族滞在ビザの方は本体者を失って取り残された状態になってしまい、「就労系等の在留資格をもつ本体者から扶養される者」という定義から外れることになります。
そのまま放置すると「お持ちの在留資格に係る活動を継続して3か月以上行っていない場合」という在留資格取消事由にあたるため、在留資格変更許可申請をしなければならなくなるのです。
就労系のビザへの変更も可能ですが、学歴に関連性のある就労先をすぐに見つけるのは大変ですし、就職活動自体に大変な時間と労力を費やすことになります。
このような事態に陥らないために、弊所では本体者が永住申請を行う際には、家族滞在のご家族も同時に永住許可申請をすることを強くおすすめいたします。
- 家族滞在ビザの方が単体で永住申請
- 本体者だけ永住申請して、家族滞在ビザのまま生活する
- 本体者に付随して同時に永住申請
家族滞在の永住申請はお得?!居住要件の実質的緩和とは
永住許可要件の重要な要件のひとつに、居住要件があります。永住権を取るためには、原則10年以上日本に居住している必要があり、さらにこの10年のうち5年間は就労系の在留資格(ビザ)をもって働いている必要があるというものです。
特例として特筆されているわけではありませんが、家族滞在ビザの方は、扶養者である本体者と同時に永住申請をすることで居住要件が実質的に緩和されます。家族滞在の該当例として挙げられている被扶養者の「配偶者」と「子」について、同時申請するとどのように審査されるのか具体的に見てみましょう。
「本体者」と「家族滞在の配偶者」が同時申請が受理された場合、「本体者」の方は通常通り、今現在の在留資格から永住許可要件を満たしているか審査されます。
「本体者」が「永住者」となった場合、家族滞在で扶養されていた配偶者は実質「永住者の配偶者」となるわけですから、審査上、「永住者の配偶者等」の在留資格だった場合とみなして、緩和された永住許可要件を満たしているかどうかで審査されます。具体的には、実態のある婚姻生活が3年以上あり、その内1年以上日本に在留していれば、通常10年必要な居住要件を最短1年で満たすことになります。
「永住者の配偶者等」ビザをお持ちの方は、原則10年以上必要な日本での居住要件がたった1年(3年以上の婚姻生活)になります。
この大幅な要件緩和は「永住者の配偶者等」以外のビザをもって在留している人でも、永住者と結婚していれば同様の扱いを受けることができます。審査官は、「もし配偶者ビザだった場合には緩和された要件を満たしていた」と仮定して審査してくれるので、配偶者ビザを一度経由しなくても、就労系ビザなどから直接、緩和された要件で永住申請をすることができるのです。
原則&特例 | 日本居住要件 |
---|---|
原則 | 10年以上 |
永住者の配偶者 | 1年以上(+3年以上の婚姻生活) |
「本体者」と「家族滞在の配偶者」が同時申請が受理された場合、「本体者」の方は通常通り、今現在の在留資格から永住許可要件を満たしているか審査されます。
「本体者」が「永住者」となった場合、家族滞在で扶養されていた子は実質「永住者の子」となるわけですから、審査上、「永住者の配偶者等」の在留資格だった場合とみなして、緩和された永住許可要件を満たしているかどうかで審査されます。具体的には、1年以上日本に在留していれば、通常10年必要な居住要件を最短1年で満たすことになります。
「永住者の配偶者等」ビザをお持ちの方は、原則10年以上必要な日本での居住要件がたった1年になります。
この大幅な要件緩和は「永住者の配偶者等」以外のビザをもって在留している人でも、永住者と結婚していれば同様の扱いを受けることができます。審査官は、「もし配偶者ビザだった場合には緩和された要件を満たしていた」と仮定して審査してくれるので、配偶者ビザを一度経由しなくても、就労系ビザなどから直接、緩和された要件で永住申請をすることができるのです。
原則&特例 | 日本居住要件 |
---|---|
原則 | 10年以上 |
永住者の実子 | 1年以上 |
家族滞在の本体者に求められる条件とは?
本体者には、原則通り、素行善良要件・独立生計要件・国益適合要件の3つの要件を満たしている必要があります。
家族滞在と同時に申請する場合にも扶養者側が諸要件を満たしているかどうか判断されます。
永住ビザを申請する外国人は、「素行が善良であること」が求められます。
以下の2つが特に重要です。
- 日本や外国の法令に違反して懲役・禁固・罰金などの刑に処せられていないこと
- 生活する上で迷惑行為などを繰り返し行っていないこと
具体的に見てみましょう。
日本の法令に違反しないことはもちろん、「外国の法令(原文:日本以外の国の法令)」とある通り、本国や渡航先国における犯罪歴についても審査上、確認されています。懲役、禁錮等については刑の執行(または執行猶予期間)から10年、罰金刑等の比較的軽微な罪であれば5年、それぞれ経過したときには素行善良要件を満たすと判断される可能性もあります。
素行善良要件には「日常生活や社会生活において、風紀を乱すような行為を繰り返し行っていないこと」も含まれています。信号無視や駐停車違反など交通違反での反則金や街宣活動で注意を何度も受けている場合など、繰り返し行うと永住不許可につながる要因となりますので、普段の生活にも注意しましょう。
過去に犯罪行為があったからといって、すぐに永住を諦めなければいけないわけではなく、
犯罪行為の内容が重要であり、その結果次第でも取り扱いは大きく異なります。
犯罪行為の内容は、暴行、傷害、窃盗、詐欺、薬物系犯罪など、どれにあたるか、また、スピード超過や人身事故、一時停止違反などの交通違反だったのか
犯罪行為の結果、前科がついたのか、前歴のみだったのか、起訴されたのか、起訴猶予となったのか
反則金となったのか、罰金刑だったのか、実刑だったのか、執行猶予となったのか
などなど、永住申請をする際には、慎重に確認する必要があります。
もちろん、違反や犯罪行為は永住審査に不利に働きますが、刑を受けた場合でも、その後一定期間を経過すれば素行善良要件をクリアできる可能性もあります。また、内容や理由、処分の結果などにもよりますが理由書によりカバーできる可能性もあります。
万が一上記に当てはまっている場合には、永住申請が行えるようになるまで素行善良に過ごし、永住申請の際には深い反省と二度と違法行為をしない誓約に加え、再犯防止に向けた具体策と日本にいる必要性を伝えましょう。
2つ目の要件として、「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」というのがあります。
具体的には、
- 生活保護などを受けていないこと
- 安定した収入があり、自立した生活が見込まれること
が挙げられます。
生活保護を受けている方は独立生計要件を満たしていないことと同義なので、永住申請が不許可になる可能性が非常に高くなります。また、生活保護を受けていること自体が「日常生活において公共の負担になっている」と判断されますので、永住申請するのであれば、生活保護の受給をストップする必要があります。
また、「安定した収入」とは、明確な基準は公表されていませんが、年収が継続して300万円以上あることが許可・不許可を分けるひとつのラインだと言われています。また貯金額はもちろ多ければプラスの要素にはなりますが、「自立した生活が見込まれること」とある通り、永住の審査においては現在の貯金額よりも収入面が重要視されています。
ただし、現在の資産の状況が全く関係ないのかというとそうではありません。例えば、母国で不動産を所有していて、日本での収入に加えて賃貸収入がある場合などには、補強材料として審査官に説明をした方が許可の可能性は高まります。この場合、日本での納税義務が発生する場合には国益要件(公的義務の適性履行)を満たしていないとならないよう納税については十分に確認しましょう。
この300万円というのは扶養関係が一切ない場合(単身等)の最低ラインの目安であり、扶養している・扶養されている場合やお子さんがいる場合には、1人あたり約80万円~100万円ほど、この「年収300万円」のラインに上乗せして考える必要があります。
家族滞在から永住申請をするということは、扶養を受けて生活しているということなので、扶養する側(本体者)の年収が独立生計要件を満たしているかを判断されます。本体者と家族滞在の方が同時申請する場合の具体的な年収目安額は以下のとおりです。
- 本体者が1人扶養している場合(例:家族滞在の配偶者を扶養)
-
年収要件(目安額):年収380万円(300万円+80万円×1人)
- 本体者が2人扶養している場合(例:家族滞在の配偶者と子1人を扶養)
-
年収要件(目安額):年収460万円(300万円+80万円×2人)
- 本体者が3人扶養している場合(例:家族滞在の配偶者と子2人を扶養)
-
年収要件(目安額):年収540万円(300万円+80万円×3人)
経営・管理ビザをお持ちの会社経営者については、収入(所得)面も重要ですが、サラリーマンよりも安定性や継続性がより重要になってきます。赤字が2期以上続いている、もしくは債務超過状態の会社は永住申請しても許可になる可能性が低いため、永住申請については時期を待ち、経営の安定化を優先させましょう。
事業が問題ないと思われる場合には、過去から現在までの決算書や安定性を示す継続的取引の記録や契約書、説明書なども加えて、会社の安定性を書類で証明できるよう提出書類を整えておきましょう。
家族滞在の配偶者が資格外活動をとって扶養の範囲内で働いている場合でも、本体者の年収のみで審査されます。
例えば、就労ビザで働く本体者の年収が280万円、家族滞在ビザの配偶者の方がパートで年収100万円といった場合、合算すると380万円となりますが、世帯年収にパート収入を含むことはできませんので、本体者の年収280万円のみで審査されるため注意が必要です。
3つ目の要件として「その者の永住が日本国の利益に適合すると認められること」とされており、国益適合要件と呼ばれています。国益については具体的に、次の6つを満たしていることが必要です。
- 原則、引き続き10年以上日本に住んでいる
- 上記10年以上の期間のうち、就労資格か居住資格で引き続き5年以上在留している
- 罰金刑や懲役刑などを受けていない
- 住民税、国税などの納税年金、健康保険料の納付、入管法上の届出義務など、公的義務を適正に行っている
- 現在持っている在留資格の在留期間が3年以上
- 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがない
家族滞在の永住申請必要書類
基本的には、本体者(扶養する方)が家族滞在ビザの方と一緒に永住申請をする場合の最低限の必要書類です。
身分関係を証明する資料と理由書にて、同時申請する家族滞在ビザの方との関係を証明する必要があります。
※各項目をクリックすることで、それぞれの資料詳細を確認できます。
- 戸籍謄本(全部事項証明書)
- 出生証明書
- 婚姻証明書
- 認知届の記載事項証明書