永住申請と帰化申請の違いとそれぞれのメリットとは?

永住申請と帰化申請の違いとそれぞれのメリットとは?

今日のおはなし

永住と帰化の共通点

永住と帰化は日本に在留する多くの外国人が最終地点として目指すところであり、よく一括りにされます。
今日は永住と帰化を比較して、共通点や相違点についてお話したいと思います。

実際に共通部分も多い永住と帰化ですが、実際にはどのような共通点があるのでしょうか。

永住の場合帰化の場合
社会的信頼高まる高まる
在留期間の定め無制限日本人になるため制限なし
活動制限なしなし
【永住・帰化の共通点】
共通
社会的信用が高まる

永住権をもつということは、日本で長期間にわたって素行善良に過ごし、生計要件を満たし、我が国の国益に適合すると認められた証拠になりますので、社会的信用度が格段に上がります。在留期限のある在留資格の場合、不許可になったら帰国してしまう恐れが常にあるため、住宅ローンを組んだり、融資を受けたりするのは容易ではありません。また、大手銀行などは、銀行で口座をつくったりも自由に行えないこともあります

永住権をもつということは、日本で長期間にわたって素行善良に過ごし、生計要件を満たし、我が国の国益に適合すると認められた証拠になりますので、社会的信用度が格段に上がります。在留期限のある在留資格の場合、不許可になったら帰国してしまう恐れが常にあるため、住宅ローンを組んだり、融資を受けたりするのは容易ではありません。また、銀行によっては口座をつくることすら断られてしまうこともあります。

永住者は社会的信用が高いので、日本人と同じようにローンを組んだり、融資を受けたり、口座をつくることができます。

帰化においても社会的信用が高まるという点は共通しています。帰化の審査は法務局で行われますが、入管の審査よりも非常に厳格な審査が行われます。帰化が許可されたということは、日本国籍を持つにふさわしい人物であると公的に認められたということです。日本は世界的に見ても差別が少ない国だと言われており、社会生活上の給与・待遇の取り扱いについても日本人との差をなくすよう国全体で取り組んでいる途中ではありますが、まだまだ外国人として日常生活を送る上では日本人との差を感じる場面が多々あると思います。帰化申請によって日本国籍をもつということは、日本人として生活するということですので、社会的信頼面を得るという面では海外から日本に移住した方にとっての終着点と言えるのではないでしょうか。

共通
在留期間の定めがなくなる

永住ビザを取得すると、在留期間が「無期限」となるため、日本にずっと住むことができるようになります。永住者と高度専門職2号以外の在留資格では、最長でも5年の在留期間が定められいるため、在留期限前に在留期間更新許可申請をして許可をもらう必要があります。日本を活動の拠点としている外国人にとって、在留期限のたびに書類収集や作成など、申請の準備をしなければならず、ストレスに感じることも多いと思います。この点永住権を取ってしまえば、在留期間の更新申請のストレスや不安から解放されることになるので、外国人の方にとって大きなメリットと言えます。

永住者となった後も、有効な在留カードを所持・更新し続ける必要がありますが、永住者の在留カード更新は通常の更新申請とは異なり、あくまでも形式的なものです。永住の在留カードは7年の有効期間が定められていますが、在留カードの有効期間を経過してしまっても、永住権そのものが消滅してしまうわけではなく、新しい在留カードを発行してもらうことができます。

帰化においては、日本国籍をもつ=日本人になるということですので、もはや在留期間という概念がなくなり、日本にいくらでも居られることになります。永住申請と違って在留カードの更新もありませんし、一度得た国籍は事実上取り消されることもありません。

共通
日本での活動制限がなくなる

永住ビザを取得すると、その他の在留資格で定められているような活動の制限がなくなり、公的機関(政府や警察署)への就労以外であれば、学歴に関連性のない職種の仕事に就いたり、自由に転職したり、会社経営をしたり、アルバイトをしたりと自由に活動できるようになります。

通常、就労系の在留資格(技術・人文知識・国際業務など)をお持ちの方の就業先は、大学や専門学校で専攻した内容と従事する職務内容との間に相当程度の関連性が必要となります。また、退職の際には、3ヶ月以内に現在の在留資格に適合した転職先に就業するか、他の要件を満たせる活動を開始して在留資格の変更申請を行う必要があり、それを怠ると在留資格の取消対象となってしまいます。

また「経営・管理」ビザで起業する場合には「資本金または出資の総額が500万円以上」もしくは「2人以上の常勤(日本人や永住者)の職員」が法律上の要件のひとつとなっていますが、永住者の場合には日本人と同様に1人でも、資本金が少額でも起業できることになり、企業がしやすくなります。

活動制限がない在留資格には、永住者の他に、

  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等
  • 定住者

がありますが、配偶者ビザをお持ちの場合にその配偶者が離婚・死別して日本で居住できる根拠を失った際には、在留資格を維持するために再婚するか、他の在留資格に変更するなど対応が必要となり、いずれの在留資格要件も満たせない場合には帰国を余儀なくされてしまいます。

一方、永住を取得すれば離婚しても永住が取り消されることもありません。このように、永住資格を取得すると、日本における活動の自由度が格段に高くなりますので、今後のライフプランの選択肢も大幅に広がることになります。

帰化においても、活動制限はなくなります。帰化とは日本人となることですので、仕事も結婚や離婚も、日本人として自由に決めることができます。もはや外国人としての扱いではなくなりますので、在留資格制度に縛られることもないですし、入管法上の様々な制限や義務から解放されることになります。

永住と帰化の相違点(それぞれのメリット)

永住と帰化は性質が異なりますが、大きな共通点として①社会的信頼が高まること②在留期限が無制限となり③活動も自由にできるようになることを挙げてきました。永住と帰化は共通していないけれど、それぞれに良いところ、悪いところというのもあります。

ここでは、まず永住と帰化のそれぞれのメリットを紹介していきます。

永住のメリット
  • 申請が帰化ほど大変ではない
  • 審査期間が帰化ほど長くない
  • 母国の国籍のままでいられる
  • 母国のパスポートをそのまま使用できる
  • いままで通り母国に帰国できる
  • 在留特別許可の可能性が高くなる

永住の特徴としては、国籍を変えることなく日本に無制限に居住できる資格であるということなので、
外国人として日本に在留するのであれば、最強の在留資格だということができます。

永住権は他の在留資格よりも色々な面で優遇されていますので、自由度が高くなったのを感じることができるでしょう
また、帰化と異なり、母国への帰国もいままでどおりできます。

帰化のメリット
  • 日本のパスポートを取得できる
  • 許可されたら取り消されることはまずない
  • 国外へ退去強制されることがなくなる
  • 再入国許可が必要なくなる
  • 日本の戸籍を取得できる
  • 参政権が認められる

帰化の特徴は、日本人になるということなので、「外国人だから制限されていたこと」については、すべて解消することができます。

日本人として戸籍を取得できますし、日本の政治に参加できる点も永住にはないメリットと言えます。
また、永住者は在留カードの更新を定期的にしなければいけませんが、そういった手続きは必要ありませんし、

法理論上は法務大臣による取消しができないわけではありませんが、取り消されて無国籍者となってしまうと不利益が大きいため、いままでに許可を取り消された例はありませんし、今後も、帰化の許可を得た後に取り消される心配はまずないといって良いでしょう。

また、日本のパスポートは世界最強と言われており、査証免除協定を結んでいる多くの国にビザなしで渡航することができます。
この部分を最大のメリットと考える帰化申請者も多くいらっしゃるようです。

永住と帰化の相違点(それぞれのデメリット)

次に、永住と帰化それぞれのデメリットと感じる部分について、紹介していきます。

永住のデメリット
  • 在留カードの更新は必要
  • 永住権を取り消される可能性がある
  • 国外への退去強制の可能性がある
  • 長く日本を離れると永住権を喪失してしまう恐れがある
  • 戸籍は取得できない
  • 参政権はない

永住者の活動拠点はあくまで日本である必要があります。そのため、長期で出国する場合には出入国在留管理局で再入国許可の手続きをする必要があります。再入国許可で認められた期間内に日本に戻らない場合、または、再入国許可を取得せずに1年以上出国した場合には、永住ビザが失効しますので十分に注意する必要があります。

永住者はあくまで日本で無期限に活動できる外国人という扱いなので、母国にいる時も外国人として活動内容が制限され、滞在日数に規定があればそれに従わなければなりません。

帰化については、許可された後に取り消された例はいままで一度もありませんが、永住者の場合には、他の在留資格と同様に永住資格が取り消されることがあります。例えば永住の申請の際に虚偽の書類を提出して不正に永住許可を得た場合などには永住権が取り消されます。また、何か重大な問題を起こした場合には退去強制処分の対象になり、母国へ強制送還される可能性もあります。他の在留資格と比較すると、永住者は退去強制処分の際にも寛大な処分となることもありますが、それでも帰化とは異なり、退去強制処分の対象になることには変わりありません。

また、今のところ日本では「外国人参政権」は認められていませんので、あくまで外国籍である永住者は、政治への参加ができません。

帰化のデメリット
  • 永住に比べて書類収集や手続きが面倒
  • 永住に比べて審査期間が長い
  • 本国の国籍を放棄しなければいけない
  • 母国に帰るのにも手続きが必要になる
  • 国籍が変わってしまう

帰化申請は、帰化を許可することにより、日本人となるため、日本においての戸籍を新しく編成することになるため、家族の情報、現在までの経歴、婚姻記録、子の出生記録や、養子縁組など、申請人に関わるあらゆる身分関係や経歴を証明する書類を本国から取り寄せて提出することになります。そのため永住申請に比べて書類収集が大変です。また、特にご自身で申請する場合などには何度も法務局に足を運んで面談をする必要があったり、日本人として最低限の日本語能力も求められるため、帰化申請は時間と労力がかかります。

また、日本人になると、母国へ帰るのにも手続きが必要になるので、予めご家族と日本人になることについて十分に話し合ってから帰化申請に臨んだ方がよいでしょう。

永住と帰化の比較(申請先と審査期間)

永住の場合帰化の場合
申請先地方出入国在留管理局地方法務局
平均審査期間4~10か月8か月~1年
活動制限なしなし
申請先と審査期間

永住審査の標準処理期間は4ヵ月となっていますが、通常は6か月以上かかることがほとんどです。永住申請は帰化申請と同様、慎重な審査がされますので、長い場合には審査に1年近くかかることもあります。

一方、帰化申請は法務省の管轄であり、標準処理期間は設定されていませんが、在留状況に関する審査に加えて、身分関係に関する書類に関しても厳密にチェックするため、永住審査よりも長くかかることが多いです。さらに、法務局に何度も足を運ぶことになる場合もありますので、帰化申請は約1年間かかると思っておいた方がよいでしょう。

ちなみに、その他の在留資格における処理期間(実績)の平均値は次の通りです。

令和3年審査分認定申請更新申請変更申請
教授20.526.726.6
芸術25.034.547.6
宗教19.830.135.4
報道11.933.843.5
高度専門職1号イ25.126.029.2
高度専門職1号ロ17.538.941.3
高度専門職1号ハ52.838.050.1
高度専門職2号データなしデータなし53.7
経営・管理79.232.949.0
法律・会計18.828.637.4
医療41.233.450.7
研究48.125.932.3
教育25.527.728.3
技術・人文知識・国際業務48.031.342.6
企業内転勤44.532.018.1
介護27.628.535.0
興行28.630.026.4
技能47.830.939.0
特定技能1号61.038.446.1
技能実習1号イ25.127.0データなし
技能実習1号ロ21.529.020.8
技能実習2号イ14.024.027.4
技能実習2号ロ27.326.233.0
技能実習3号イ17.127.728.6
技能実習3号ロ21.827.930.4
文化活動26.524.425.6
短期滞在データなし1.93.9
留学50.726.529.6
研修37.816.5データ不足
家族滞在45.930.031.9
特定活動32.523.228.5
日本人の配偶者等46.427.131.5
永住者の配偶者等51.926.627.4
定住者59.428.828.6
単位:日

永住と帰化の比較(費用・報酬)

次に、永住と帰化申請についての費用や報酬について比較してみましょう。

現在の申請人の在留資格や同時申請する人数などによっても費用感は変わってきますので、単純な比較は難しいですが、
モデルケースとして会社員ひとりが単独で永住申請、帰化申請した場合を比較します。

永住の場合の平均費用帰化の場合の平均費用
自己申請の場合12,0005,000
行政書士事務所比較結果130,560180,290
令和2年度報酬統計結果131,527177,500
CoCo行政書士事務所88,000165,000
費用・報酬

自己申請の場合、役所での書類収集にかかる費用が大半を占めますが、永住の場合には許可を得た後に手数料が8,000円かかりますので、交通費も加味すると、自己申請でも1万円はかかるでしょう。

弊所への依頼の場合、帰化申請サポートに関しても他社平均より基本料金を安く設定しておりますが、特に永住申請に関して

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