永住ビザ取得後に離婚した場合、取消しになる?

永住ビザ取得後に離婚した場合、取消しになる?

今日のおはなし

永住者が離婚した場合、永住ビザは取消しになるの?

過去に永住申請を行い、永住許可を取得してすでに永住ビザを取得している場合には、離婚しても永住ビザのまま日本に居住することができます。

「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の配偶者ビザから永住権を取得した方にとっては、配偶者に紐づいて日本に居住していた期間があるので、不安があるかもしれません。

たしかに、配偶者ビザの場合の活動内容は、日本人の配偶者または永住者の配偶者という「身分」によって日本に在留することを認められていますので、離婚や死別した場合には、別の方と再婚するなどしないと、同在留資格での在留は維持できません。また、婚姻生活の実態がないまま6か月を経過すると、在留資格に見合った活動をしていないと判断され、在留資格の取消対象となってしまいます。

しかし、永住権はそもそも活動制限がありませんので、離婚によって「活動範囲」を逸脱しているという判断にはなりません。そのため、配偶者と離婚や死別しても、永住権が取り消される心配はありません。

また、配偶者ビザなどの時には14日以内に「配偶者に関する届出」を①ネット、②郵送、③地方出入国在留管理官署窓口に持参のいずれかの方法で提出しなければ入管法上の届出義務違反となりますが、永住者の場合には、特別な手続きも必要ありません。

永住者配偶者ビザ
活動制限制限なし制限なし
(但し身分・地位を有する者としての活動を逸脱できない)
在留期間制限なし制限あり(最長でも5年)
再入国再入国許可期間最長5年
(海外延長1年)
みなし再入国許可1年
・再入国許可期間最長5年(但し在留期間満了日迄)海外延長1年
・みなし再入国許可1
年(但し在留期間満了日迄)
在留カードの有効期限交付の日から7年間
16歳未満の者は16歳の誕生日迄
在留期間満了日まで
16歳未満の者は在留期間の満了日or16歳の誕生日いずれか早い日迄
配偶者と離婚・死別した場合の在留資
格の取消
なし6月以上実態がないと判断された場合、取消あり
(離婚・死別後14日以内に届出が必要)
配偶者ビザと永住ビザの比較

永住ビザ以外の在留資格で離婚したらどうなるのか

永住者以外の在留資格の場合には、離婚や死別が今後日本に在留できるかどうかにかかわる重要な問題となる可能性があります。

家族滞在ビザの場合

「技術・人文知識・国際業務」などの就労系ビザをお持ちの方と結婚している方は「家族滞在」ビザとして日本に在留することができますが、もし、この技人国を持つ本体者と離婚・死別した場合には、14日以内に「配偶者に関する届出」を提出して、入管に離婚・死別の事実を報告する入管法上の義務があります。

その後、母国へ帰るか、日本に残るかを決めなければいけないのですが、家族滞在ビザのままでは日本に住み続けることはできませんので、離婚・死別の時から3か月以内に、在留資格の変更を検討しなければいけません。

可能性としては、再婚して日本人の配偶者や永住者の配偶者の身分を得ることで、配偶者ビザの申請ができます。ただし、配偶者ビザはいままで悪用されてきた経緯があるため、その結婚の信憑性についてはかなり厳しく審査されます。特に、前配偶者との離婚から間もない場合、年の差が大きい場合、交際期間があまりにも短い場合は不許可リスクが高まります。

一般的には、就労して「技術・人文知識・国際業務」のビザに変更する場合が多いと思われますが、アルバイトなどの現場就労は認められていませんので、卒業した学校での専攻科目との関連性のある間接部門の業務に従事する必要があります。就職活動には労力と時間を要しますので3か月で就職するのは難しい側面もありますが、日本に住み続けたい場合には就労ビザが現実的な選択肢となります。

就労ビザには、他にも「経営・管理」ビザがあります。資金が十分にあり、また、経営のビジョンがあるのであれば、多少ハードルは高くなりますが会社設立の手続きを行い、経営・管理ビザ取得に向けて動いても良いかもしれません。経営・管理ビザは個人事業主も範囲に含まれますが、原則は会社(株式会社や合同会社)を設立する必要があり、業種によっては営業許可を得る必要があります。事業用の賃貸借契約を結んだり、銀行口座の開設や印鑑証明など、取得する必要書類も多岐にわたるので、家族滞在から経営・管理ビザの取得を目指す場合にも、時間との闘いになるかもしれません。

その他、幼い頃から日本にいるため日本語しか話せない、母国に親族がいない、難病を患っていて日本での治療が必要、など特別な事情があり、帰国することで不利益があると認められる場合には、その他の資格で日本に残れる可能性もあります。

配偶者ビザの場合

「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」などの配偶者ビザの場合も、離婚することで離婚や死別後14日以内に「配偶者に関する届出」を提出して、入管に離婚・死別の事実を報告する入管法上の義務があります。また、6か月以内に就労系のビザや定住者に変更をしなければ帰国を余儀なくされます。また、配偶者ビザの方が離婚や死別した場合には「定住者」ビザへの変更も認められる可能性があります。

永住申請に関わる部分としては、居住要件の特例が使えなくなるため、原則通り10年の居住が必要となります。再婚した場合は再び配偶者ビザとなりますが、配偶者が変わるため婚姻生活が「継続」しているとはみなされませんので、特例申請をする場合でも、新たに3年以上の実態ある婚姻生活の後、永住申請をすることになります。

永住申請中に離婚した場合はどうなるのか

永住申請後~審査結果が出るまでの間に配偶者と離婚してしまったり、死別してしまった場合には前提となる要件や扶養関係なども変わってくるため、永住審査に大きく影響します。家族の状況に変更があった場合には、速やかに入管に報告をしましょう。

また、永住申請では了解書を提出しますが、その記載通り、同居していた家族と別居することになった場合や、逆に同居する方が増えた場合なども入管に連絡する必要があります。

了解書(日本語)
Acknowledgment Form(English)

最も問題があるのは、居住要件の特例を使っている場合です。「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の配偶者ビザから永住申請をしている場合、原則10年日本に継続して住んでいなければならないという居住要件が最短1年になり、さらに、配偶者の場合には永住許可の3要件のうち2つ(素行善良要件と独立生計要件)が問われなくなるなど、大幅に要件が緩和されます。

配偶者という前提がなくなってしまうと、緩和された要件をつかえなくなってしまいますので、審査にもかなり重大な影響を及ぼします。もちろん、死別や色々な事情により離婚したのであればやむを得ないので、入管への連絡だけは忘れずにするようにしましょう。

原則&特例日本居住要件
原則10年以上
日本人の配偶者
永住者の配偶者
1年以上(+3年以上の婚姻生活)
日本人の実子
永住者の実子
1年以上
日本人の特別養子
永住者の特別養子
1年以上
永住申請で必要な日本での居住期間

永住申請は、特に慎重な審査が行われますので、聞き取り調査や訪問調査が行われることもあります。申請書や提出書類の内容と実態が一致している必要がありますので、書面上は住んでいないはずの人が住んでいたり、同居しているはずの配偶者がいないので、婚

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