技能実習ビザから永住権を取得する方法とは?

技能実習ビザから永住権を取得する方法とは?

今日のおはなし

技能実習ビザとは?

技能実習ビザとは、1993年に創設された在留資格です。

開発途上地域等の外国人を日本で最長5年間に限って受け入れることで、日本で培われた技能・技術・知識の移転によって、開発途上地域の経済的発展に役立ててもらおうという国際貢献のために立ち上がった制度です。

他の就労系在留資格では認められていない「現場就労」が例外的に認められている在留資格のため、技能実習の適正な実施と技能実習生の保護の観点から、監理団体については許可制、実習実施者については届出制、技能実習生ごとに作成する技能実習計画については主務大臣・法務大臣による認定制と厳格な管理がなされています。

また、「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」とされ、実習実施企業や監理団体についても厳格に取り扱われています。技能実習制度の受入れ機関には、2種類のタイプがあり、非営利の監理団体(事業協同組合、商工会等)が技能実習生を受入れて傘下の企業等で技能実習を実施する「団体監理型」と日本の企業等が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する「企業単独型」がありますが、現状技能実習の受入形態のほとんど(約98%)が団体監理型です。

技能実習は1号~3号まであり、技能実習ビザをもって最長5年間日本に在留できますが、2号から3号への移行するには一旦母国への帰国を挟まなければいけないことになっています。技能実習1号を終えると実技試験と学科試験によって基礎級、2号の実習を終えると関連分野の技能検定3級の証明書が取得でき、一定の技能を有することが認められます。

技能実習制度の実態

令和3年末の技能実習生として日本に在留している外国人は約28万人います。令和元年(2019年)までは増加していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響があり、その後、実習生の数は減少しています。

計画認定数から実習生の受入れが多い職種を見ると、建設関係が最も多く、次いで食品製造関係、 機械・金属関係が多い傾向にあります。また受入元の国として多いのはベトナム人で全体の半数以上を占めています。

永住権とは?~永住ビザのメリット~

永住権を取得すると、現在の国籍のまま日本に無制限に居住できます。また、通常外国人が日本で行える活動は、在留資格ごとに定められた範囲に限られていますが、永住者となると日本での活動制限がなくなり、日本人とほぼ同じように自由に活動できるようになります。

まずは、具体的に永住ビザのメリットを見ていきましょう。

長所
在留期間が無期限になる!

永住ビザを取得すると、在留期間が「無期限」となるため、日本にずっと安定して住むことができるようになります。永住者と高度専門職2号以外の在留資格では、「最長でも5年」と在留期間が定められているため、在留期限前に在留期間更新許可申請をして許可をもらう必要があります。日本を活動の拠点としている外国人にとって、在留期限のたびに書類収集や作成など、申請の準備をしなければならず、ストレスに感じることも多いと思います。この点永住権を取ってしまえば、在留期間の更新申請のストレスや不安から解放されることになるので、外国人の方にとって大きなメリットと言えます。

永住者となった後も、有効な在留カードを所持・更新し続ける必要がありますが、永住者の在留カード更新は通常の更新申請とは異なり、あくまでも形式的なものです。永住の在留カードは7年の有効期間が定められていますが、在留カードの有効期間を経過してしまっても、永住権そのものが消滅してしまうわけではなく、新しい在留カードを発行してもらうことができます。

長所
在留活動に制限がなくなる!

永住ビザを取得すると、その他の在留資格で定められているような活動の制限がなくなり、公的機関(政府や警察署)への就労以外であれば、学歴に関連性のない職種の仕事に就いたり、自由に転職したり、会社経営をしたり、アルバイトをしたりと自由に活動できるようになります。

通常、就労系の在留資格(技術・人文知識・国際業務など)をお持ちの方の就業先は、大学や専門学校で専攻した内容と従事する職務内容との間に相当程度の関連性が必要となります。また、退職の際には、3ヶ月以内に現在の在留資格に適合した転職先に就業するか、他の要件を満たせる活動を開始して在留資格の変更申請を行う必要があり、それを怠ると在留資格の取消対象となってしまいます。

また「経営・管理」ビザで起業する場合には「資本金または出資の総額が500万円以上」もしくは「2人以上の常勤(日本人や永住者)の職員」が法律上の要件のひとつとなっていますが、永住者の場合には日本人と同様に1人でも、資本金が少額でwも起業できることになり、企業がしやすくなります。

就労制限がない在留資格には、永住者の他に、

  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等
  • 定住者

がありますが、配偶者ビザをお持ちの場合にその配偶者が離婚・死別して日本で居住できる根拠を失った際には、在留資格を維持するために再婚するか、他の在留資格に変更するなど対応が必要となり、いずれの在留資格要件も満たせない場合には帰国を余儀なくされてしまいます。

一方、永住を取得すれば離婚しても永住が取り消されることもありません。このように、永住資格を取得すると、日本における活動の自由度が格段に高くなりますので、今後のライフプランの選択肢も大幅に広がることになります。

長所
日本での社会的信用が高くなる

永住権をもつということは、日本で長期間にわたって素行善良に過ごし、生計要件を満たし、我が国の国益に適合すると認められた証拠になりますので、社会的信用度が格段に上がります。在留期限のある在留資格の場合、不許可になったら帰国してしまう恐れが常にあるため、住宅ローンを組んだり、融資を受けたりするのは容易ではありません。また、大手銀行などは、銀行で口座をつくったりも自由に行えないこともあります。

永住権をもつということは、日本で長期間にわたって素行善良に過ごし、生計要件を満たし、我が国の国益に適合すると認められた証拠になりますので、社会的信用度が格段に上がります。

在留期限のある在留資格の場合、不許可になったら帰国してしまう恐れが常にあるため、住宅ローンを組んだり、融資を受けたりするのは容易ではありません。その点、永住者は社会的信用が高いので、日本人と同じようにローンを組んだり、融資を受けたりすることも認められやすくなります。

長所
母国へ今まで通り帰国できる

永住ビザは取得しても国籍が変わるわけではないので、パスポートもいままでどおりのものを持ち続けることになり、母国への帰国は問題なく行うことができます。一方、帰化の場合は国籍が日本になるため、母国へ帰国するのにも手続きが必要になります。

長所
在留特別許可の可能性が高い!

永住の場合、あくまで国籍は変わらないため、万が一退去強制事由に該当してしまった時は母国へ強制的に帰ることになり、また、その後最低でも何年間かは来日できなくなってしまいます。しかし、永住権を取得していると法務大臣の裁量により在留特別許可が得て引き続き日本で暮らせる可能性が他のビザよりも高くなります。このことは、出入国管理及び難民認定法50条1項1号の「法務大臣の裁決の特例」として明記されています。

法務大臣は(中略)当該容疑者が次の各号のいずれかに該当するときは、その者の在留を特別に許可することができる。

1.永住許可を受けているとき。
2.かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき。
3.人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき。
4.その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき。

出入国管理及び難民認定法50条(法務大臣の裁決の特例)1項1号

また、他の在留資格と比べても、永住ビザを得ると大きなメリットがあることが分かります。

永住者その他就労系・活動資格その他居住資格
活動制限制限なし制限あり制限なし
(但し身分・地位を有する者としての活動を逸脱できない)
在留期間制限なし制限あり
(高度専門職第2号除く)
制限あり
再入国再入国許可期間最長5年
(海外延長1年)
みなし再入国許可1年
・再入国許可期間最長5年(但し在留期間満了日迄)海外延長1年
・みなし再入国許可1
(但し在留期間満了日迄)
・再入国許可期間最長5年(但し在留期間満了日迄)海外延長1年
・みなし再入国許可1
年(但し在留期間満了日迄)
在留カードの有効期限交付の日から7年間
16歳未満の者は16歳の誕生日迄
在留期間満了日まで
16歳未満の者は在留期間の満了日or16歳の誕生日いずれか早い日迄
在留期間満了日まで
16歳未満の者は在留期間の満了日or16歳の誕生日いずれか早い日迄
在留資格に応じた活動を
行っていない場合の在留資
格の取消の有無
なしあり
在留資格に応じた活動をしていない+他の活動を行っている場合
・在留資格に応じた活動を3月以上行っていない場合
配偶者ビザで6月以上実態がないと判断された場合
参考:法務省「永住許可のメリットについて」

永住権取得のための要件

ここまで見てきたように、永住権を取ると様々なメリットがあります。ただし、誰でもすぐに永住権を取得できるわけではありません。日本で制限なく活動でき、無期限に居住できる永住者となるには、永住申請者が次の要件をすべて満たしていることが求められています。

①素行善良要件

技術・人文知識・国際業務(技人国)には次の素行善良要件が求められます。

日本や外国の法令に違反して懲役・禁固・罰金などの刑に処せられていないこと

日本の法令に違反しないことはもちろん、「外国の法令(原文:日本以外の国の法令)」とある通り、本国や渡航先国における犯罪歴についても審査上、確認されています。懲役、禁錮等については刑の執行(または執行猶予期間)から10年、罰金刑等の比較的軽微な罪であれば5年、それぞれ経過したときには素行善良要件を満たすと判断される可能性もあります。

生活する上で迷惑行為などを繰り返し行っていないこと

素行善良要件には「日常生活や社会生活において、風紀を乱すような行為を繰り返し行っていないこと」も含まれています。懲役・禁固・罰金・拘留・科料に該当しない軽微な違反を繰り返しおこなっている場合には、素行善良要件を満たしているとは言えないとして不許可の可能性が高くなります。具体的には信号無視や駐停車違反など交通違反での反則金や街宣活動で注意を何度も受けている場合や、自転車の運転でも違反行為として同様のケースで処分を受けると、永住審査に影響があります。普段の生活にも注意しましょう。

内容にもよりますが、過去5年間で5回以上軽微な違反を行っていると素行善良とは言えず、要件を満たさなくなる可能性があります。また、飲酒運転や無免許運転などは軽微な違反とは言えず、1回でも素行善良要件を満たしていないと判断されます。

ご自身の違反記録は運転記録証明書(運転経歴に係る証明書)で確認できます。各都道府県の自動車安全運転センター事務所か警察署、交番、駐在所などで請求書を取得し、自動車安全運転センターで直接発行手続きをするか、手数料を添えて最寄りのゆうちょ銀行・郵便局から申し込むことで、後日郵送にて証明書が届きます。

証明書の交付手数料は1通670円です。ゆうちょ銀行、郵便局から申し込む場合は、振込手数料が別途必要となります。

②独立生計要件

永住許可の要件のひとつとして「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」というものがあります。
過去から現在、また将来にわたって、自活能力があるかという点を審査されます。

  • 生活保護などを受けていないこと
  • 安定した収入があり、自立した生活が見込まれること

生活保護を受けている方は「日常生活において公共の負担になっている」と判断されますので、永住申請するのであれば、生活保護の受給をストップする必要があります。

「安定した収入」とは、明確な基準は公表されていませんが、原則は直近5年間の年収が継続して300万円以上あることが許可・不許可を分けるひとつのラインだと言われています。また貯金額はもちろ多ければプラスの要素にはなりますが、「自立した生活が見込まれること」とある通り、永住の審査においては現在の貯金額よりも収入面が重要視されています。

ただし、現在の資産の状況が全く関係ないのかというとそうではありません。例えば、母国で不動産を所有していて、日本での収入に加えて賃貸収入がある場合などには、補強材料として審査官に説明をした方が許可の可能性は高まります。この場合、日本での納税義務が発生する場合には国益要件(公的義務の適性履行)を満たしていないとならないよう納税については十分に確認しましょう。

この300万円というのは扶養関係が一切ない場合(単身等)の最低ラインの目安であり、ご家族などを扶養している場合には1人あたり約80万円~100万円ほど、この「年収300万円」のラインに上乗せして考える必要がありますので注意しましょう。

「安定した収入」の目安額
扶養関係にない場合(例:単身など)

年収額(目安):年収300万円

扶養家族1人の場合(例:申請者+配偶者)

年収額(目安):年収380万円(300万円+80万円×1人)

扶養家族2人の場合(例:申請者+配偶者+子)

年収額(目安):年収460万円(300万円+80万円×2人)

扶養家族3人の場合(例:申請者+配偶者+子+子など)

年収額(目安):年収540万円(300万円+80万円×3人)

③国益適合要件

永住申請者は、「日本国の利益に適合」する必要があり、具体的に次の6つを満たしていることが求められます。

1. 原則、引き続き10年以上日本に住んでいる

国益要件①(原則、引き続き10年以上日本に住んでいる)

国益要件の1つ目として、「原則として、引き続き10年以上日本に在留していること」が求められます。
これは、永住許可要件のなかの、「居住要件」と呼ばれるものです。

「引き続き」ってどういう意味??

在留資格が途切れることなく、日本に継続して10年在留している状態を意味しています。1回3か月以上の長期出国や年間計100日以上の細かい出国などがあると「引き続き」と認められなくなる可能性があるので、注意が必要です。

また、この居住要件には、「原則」とあるように、特例的に居住歴が10年に満たなくても、永住申請が許可されることがあります。

2. 上記10年以上の期間のうち、就労資格か居住資格で引き続き5年以上在留している

国益要件②(10年以上の期間のうち、就労資格か居住資格で引き続き5年以上在留している)

上記10年以上の居住期間のうち、少なくとも直近5年は就労系のビザまたは居住系の在留資格資格(身分系のビザ)で継続して日本に在留している必要があります。

この就労系の在留資格(ビザ)というのは、在留格一覧表の「一の表」と「二の表」に書かれている在留資格のことを言い、
「技術・人文知識・国際業務」ビザが就労系在留資格の代表と言えます。

転職している場合、就労期間の数え方はどうなるの?

転職している場合、前職と現職の会社での就労経験は合算できます。ただし、在留資格に見合った活動を継続している必要があります。

例えば、前職で3年勤めてから退職し、転職活動で1年近く無職となり、その後、現在の会社に就職して2年間勤務している場合、在留資格に合った活動を「継続している」とは言えませんので、要件を満たしていないことになります。

このように在留活動に見合った活動がいったん途切れてしまった場合には、新しい会社で満5年勤務を継続することで、新たに直近5年以上就労という要件を満たす必要があります。

注意点として、アルバイトやパートとして働いていた期間は就労期間に含めることはできません。

ご自身が初めて来日してからどのようなビザを辿って本日まで至ったか、永住申請前に一度整理しておくとよいでしょう。

3. 罰金刑や懲役刑などを受けていない

国益要件③(罰金刑や懲役刑などを受けていない)

素行要件にも共通する部分ですが、来日から現在までの間に罰金や懲役刑を受けていると、国益要件の観点からも永住申請に不利に働きます。万が一、刑罰法規に触れる行為を行った場合にはその犯罪の内容や処分についてが重要です。

スピード違反、飲酒運転、無免許運転など罰金刑以上となり得る交通違反も含まれますので、十分に気を付けましょう。

4. 各種税金の納税、年金や健康保険料の納付、入管法上の届出義務などの公的義務を適正に行っている

国益要件④(公的義務を適正に履行している)

「公的義務」とは次の項目のことを指します。

  • 住民税・国税等の納税義務
  • 公的年金・公的医療保険の保険料の納付義務
  • 入管法上の届出義務

まず、住民税等の税金の納税と、年金と健康保険料の納付に関しては、すべて期限内に、支払っている必要があります。
サラリーマンなど社会保険に加入し、給料から税金等がすべて天引きされている方は問題ないと思いますが、コンビニ払いをしている方や転職・求職などで国民健康保険に切り替えたことがある方は支払漏れが不許可につながりますので、注意しましょう。

また、同世帯のご家族が滞納している場合でも、永住申請は高い確率で不許可となります。

原則・特例住民税の課税・納税証明年金・健康保険納付証明
原則直近5年分直近2年分
日本人の配偶者等直近3年分直近2年分
永住者の配偶者等直近3年分直近2年分
高度人材ポイント70点以上の場合直近3年分直近2年分
高度人材ポイント80点以上の場合直近1年分直近1年分
永住申請の提出書類として納税・納付を証する期間

証明資料として提出するのは原則、税金等が直近5年分年金等は直近2年分となります。

提出する期間はあくまで自己申告として証明する期間であり、実際には5年以上前の滞納分が原因で不許可となる事例もありますので、滞納や支払漏れは不許可リスクが残ると考えた方がよいでしょう。

現時点で滞納や支払い遅れがある場合には、すぐに永住申請をすることはおすすめしません。遡って払える分は全て払い、納期限を守って支払っている実績(公的義務を適正に履行している実績)を積み上げてから申請に臨みましょう。

「入管法上の届出義務」とは、例えば、以下のような項目を指します。

  1. 住居変更の届出(引越しをした場合など各市区町村への手続き)
  2. 所属機関等に関する届出(転職や事業所変更など、活動場所や契約機関に関する情報が変更になった場合)
  3. 前配偶者と離婚した時の届出
  4. 前配偶者と死別した時の届出
5. 現在持っている在留資格の在留期間が3年以上

国益要件⑤(現在持っている在留資格の在留期間が3年以上であること)

「現に有している在留資格について,出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること」とありますが、当面の間は所持している在留カードの在留期間が3年以上であれば、要件を満たしているとみなされます。

6. 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがない

国益要件⑥(公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと)

最後の国益要件です。具体的には、感染症予防法で定める一類感染症(エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱など)、二類感染症(ポリオ、結核など)、指定感染症、新感染症にかかっている患者の方や、麻薬、大麻、あへん、覚醒剤などの薬物中毒者でないことなどが求められています。

その他、異臭・騒音騒ぎを繰り返し行い地域住民から苦情がある場合や、ゴミ屋敷状態で役所の対応が必要になるなども、自治体や住民にとって有益とは言えません。国益要件として永住申請にネガティブな影響を与えないよう、社会生活と日常生活の両面で注意して過ごしましょう。

技能実習ビザでも永住権はとれるの?

実習生として長く日本で過ごした方のなかには、技能実習を終えてからもずっと日本に住みたいと思われる方も多いと思いますが、残念ながら、技能実習ビザから直接永住者となることは認められていません。

永住が許可されるための要件(国益適合要件)のひとつに「10年以上の期間のうち、就労資格か居住資格で引き続き5年以上在留していること」とありますが、技能実習生は母国への技術移転が制度の趣旨・目的のため、日本にずっと住むことを想定しているビザではないからです。

技能実習生の他、特定技能1号ビザをもって就労している期間も、この引き続き5年以上の就労期間に含めることが認められていません。そのため、技能実習生として最長の5年を日本で過ごし、その後、特定技能ビザに切り替えて5年間就労した場合でも、居住要件である日本に10年以上という期間だけは満たしますが「就労期間5年」の要件については別途満たす必要があります。

考えられる永住権取得のルートとしては、特定技能2号に切り替えるか、技能や技術・人文知識・国際業務などの正規の就労系ビザを取得して、改めて5年間就労する方法があります。

また、別の方法として日本に住んでいる間に日本人や永住者と結婚して配偶者ビザをとり、3年経過後に特例を使用して永住申請をする方も少なからずいます。ただし、送出機関のなかには実習生に対して恋愛禁止を条件に送り出しているところも多く、技能実習からの配偶者ビザへの変更は、送出機関・監理団体・所属機関・実習生との間でトラブルになるケースもあります。原則的には制度趣旨と異なるため実習生から配偶者ビザへの変更は認められていませんので、注意しましょう。

今日のおはなし