企業内転勤ビザから永住ビザ申請
企業内転勤ビザから永住ビザ申請
企業内転勤ビザってどんなビザ?
就労系ビザのひとつに「企業内転勤」という在留資格があります。
活動内容(職務内容)として認められている範囲は「技術・人文知識・国際業務」と同じですが、外国の事業所で勤めている外国人が、同一企業や関連企業の日本の事業所に、期間を決めて転勤して業務を行う場合に取得できる在留資格です。
企業内転勤ビザを取得するには、日本にある転勤先に転勤する直前に、1年以上継続して関連企業等で勤務していたことが必要となります。転勤元と転勤先の業務関連性は転勤の必要性に説得力を持たせるためにあった方が良いですが、技人国の在留資格で定められている活動範囲内であれば、強い関連性までは要求されていません。
ちなみに、もし直前1年以内にも「企業内転勤」ビザで日本で勤務していたという場合には、「その際の日本での業務期間+帰国後の外国での業務期間」の合算が1年以上であればこの期間要件を満たすことになります。
例えば、「企業内転勤」で6か月間日本で仕事をして帰国した方が、再び6か月後に転勤で来日する場合も、企業内転勤ビザを申請できます。ただし、合算できる日本での業務期間は「企業内転勤ビザでの業務期間だけ」なので、その他の就労系ビザで来日していたとしても、合算はできません。
また、「企業内転勤」の転勤の範囲は、同一企業内の転勤だけではなく、「親会社-子会社間」や「転勤元会社-関連会社間」であっても範囲に含まれる場合があります。ただし、企業間関係によっては出資率が影響する場合があります。不明な場合にはご相談ください。
- 赤色実線は企業内転勤が認められる範囲です
- 灰色点線は企業内転勤が認められない範囲です
- 赤色実線は企業内転勤が認められる範囲です
- 灰色点線は企業内転勤が認められない範囲です
上記の企業間関係に当てはまらない場合には「企業内転勤」ビザではなく、「技術・人文知識・国際業務」ビザでの申請を検討することになります。
また、企業内転勤ビザは「期間を定めて転勤」することが要件のひとつとなっているため、いつからいつまで日本で業務を行う予定なのか、辞令や派遣状で定める必要があります。日本での在留がどれくらいになるか分からず、期間を定めることができないのであれば「技術・人文知識・国際業務」など他の在留資格を検討すべきです。ただし、転勤後に予定よりプロジェクトの完遂に時間がかかってしまう場合など、事情が変わることも考えられます。その場合には「企業内転勤」のまま、在留期間の更新申請することも可能です。
本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動
入管法 別表1-2(企業内転勤の活動内容)
申請人が次の1~2のいずれにも該当していること。
1.申請に係る転勤の直前に外国にある本店、支店その他の事業所において法別表第1-2の表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる業務に従事している場合で、その期間(企業内転勤の在留資格をもって外国に当該事業所のある公私の機関の本邦にある事業所において業務に従事していた期間がある場合には、当該期間を合算した期間)が継続して1年以上あること。
2.日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。※
入管法7条1-2の基準を定める省令(企業内転勤の上陸許可基準)
※同等の地位の日本人従業員と比較し、同等額以上であることが求められます。勤務先に同等地位の日本人が居ない場合には、同地域・同業種の賃金統計調査などの資料で疎明します。報酬には、賞与は含まれますが、通勤手当・住宅手当・扶養手当などの各種手当は含みません。また福利厚生などで支払われる金銭等も報酬には含まれませんが、労働契約上、賃金総額に含まれることが明らかな場合や、就業規則で支給条件が明記されているものについては報酬に含まれます。
「技術・人文知識・国際業務」との違い
次に、企業内転勤と技術・人文知識・国際業務との違いを見てみましょう。
企業内転勤 | 技人国 | |
---|---|---|
学歴・実務要件 | 不要 | 要 |
在籍要件 | 要 | 不要 |
勤務期間の定め | 要 | 不要 |
派遣 | 不可 | 可 |
転職 | 不可 | 可 |
単純作業 | 不可 | 不可 |
業務範囲が同じのため、企業内転勤と技人国はよく比較されます。企業内転勤の場合、技人国ビザと違って関連性のある学歴や実務経験は要件に含まれていないため、企業内転勤で来日できるのではないかと考える外国人の方は多いですが、同一または関連性のある企業への期間限定の転勤であって、転勤元で1年以上の勤続が必要なので、この要件を満たしていない場合には技人国や他の就労資格での申請を検討することになります。
派遣については、企業内転勤は、転勤先での勤務に限定されていることに対して、技人国の場合には、人材派遣会社と雇用契約を結んで他の会社へ派遣されて業務を行うことなども認められています。
また、企業内転勤ビザで来日したにもかかわらず、関連会社等の転勤先を退職してしまった場合には「企業内転勤」のまま、日本に在留することはできないため、その他のビザへの変更申請を検討することとなります。
「企業内転勤」「技人国」どちらの場合であっても、単純作業をメイン業務として行うことは認められていません。
企業内転勤から永住申請はできるの?
企業内転勤では、日本の勤務先で勤務する期間をあらかじめ決めてから入国する必要があるため、永住申請を想定した在留資格ではありません。しかし、実務上は理由があれば更新申請を行って「企業内転勤」のまま在留することも可能ですし、永住申請に必要な10年以上の居住要件と5年以上の就労要件を「企業内転勤」のみで満たすことも可能です。また、次のような特例を使っての申請であれば、居住要件を短縮して永住ビザを取得することもできます。
- 高度人材70点以上であれば…3年で永住申請可能!
- 高度人材80点以上であれば…1年で永住申請可能!
- 日本人の配偶者であれば…最短1年で永住申請可能!※
- 永住者の配偶者であれば…最短1年で永住申請可能!※
※配偶者としての特例を使って永住申請をする場合、実態のある婚姻生活が3年以上必要です。
企業内転勤ビザから永住申請する際に、要件を満たせていないことが多いのは、居住期間と税金年金等の支払いです。
特に転勤で海外に行く機会の多い方は、帰国回数が多かったり、日本からさらに別の国への渡ったりすることも考えられます。長期出張で日本から出国している日数が長いと、居住期間がリセットされてしまうことがあるので注意しましょう。
また永住許可のための重要な要件のひとつに税金や年金の支払を納期限を守って支払っていることがあります。特例での申請かどうかによって提出する支払実績の証明期間は異なりますが、日本の法令に則ってすべて適正に支払が履行されている必要がありますので、永住申請をする前に念入りな確認が必要です。