【最新版】永住ビザ許可率の推移をまとめてみた

【最新版】永住ビザ許可率の推移をまとめてみた

今日のおはなし

最新版!永住許可率の推移(直近10年分)

今日は、永住許可率の推移と不許可原因について詳しくお話します。

まずは直近10年分の永住許可率の推移を見てみましょう。

永住許可率永住許可件数永住処理総数
2012年68.9%42,17661,173
2013年71.8%45,17962,965
2014年70.5%35,80050,788
2015年70.9%39,82056,182
2016年67.5%35,67952,819
2017年56.9%28,94250,907
2018年51.7%31,52661,027
2019年56.6%32,21356,902
2020年51.7%29,74757,570
2021年57.2%36,69164,149
永住の難易度は上がっており、申請者の約5割が不許可になっています!

上記永住許可率には、申請人がご自身でおこなった申請(自己申請)の永住許可率と、行政書士などの専門家に依頼された申請人の永住許可率が混ざっています。もちろん、日常的にビザ申請を取り扱っている専門家の方が、書類の作成や収集の面でクオリティの高いものが作成できますし、永住申請において申請人が要件を満たしていない状態で取次申請するといったことはほぼないと思われます。

そのため、この不許可数のうち、大半が自己申請によるものと考えられます。

他のビザ申請同様、永住申請はもちろん申請人ご自身でも申請できます。ただ、永住審査は年々厳格化しており、許可を得るには専門的な知識や高度な書類作成技術が必要であり、自己申請による不許可は非常に多いです。

そのため、永住申請を完全に自分だけでしようとするのはおすすめできません。プロの目から見ると、要件を満たしていないまま申請をしていたり、書類の内容が不十分だったり、疎明資料(証明資料)が足りていないという場合がほとんどだからです。専門家に依頼すれば許可を得られたであろう状況で、自己申請で不許可になってしまい、その履歴が残ってしまうのはもったいないことだと言えます。

私たち専門家は要件を満たしているかどうかの判断は当たり前のこととして、その上で許可を得るためにどれくらいまで許可の可能性を高められるのかといった試行錯誤を日々しています。特に永住申請に関しては、自己申請と専門家のサポートによる申請とで結果に差が出てしまうものなのです。

永住審査では、いままでの日本での活動やビザ申請が正しいものだったか判断されることになります。審査期間が長く、結果がでるまでの間相当の不安もあるとは思いますが、万全の体制で臨めば、きっと後悔することなく、許可まで堂々と構えていられると思います。ご不安な点は自己申請で不許可となる前に、ぜひ一度プロにご相談ください。

永住不許可率とガイドライン改定の関係

2019年7月から新しくなった永住許可のガイドライン改定により、それ以前に増して要件を満たすことが難しくなりました。
ここまで紹介してきた永住許可率の推移をみると許可率は徐々に下がっているように見えますが、改定された要件を満たせずに永住申請を諦めたケースや書類不備等で受理されなかったケースを考えると、実態上の不許可率は上記の数字以上に高くなると考えられます。

2019年7月~永住許可に関するガイドラインの改定で永住申請者にとって厳しくなった要件は以下の通りです。

  • 原則直近5年分の年収が審査対象となった
  • 公的義務を適正に履行していることとして、年金や保険料の納付が審査対象となった

年収要件は、永住申請者が安定した収入を得ていることを求めていますが、この安定性を判断するため、直近3年だった年収実績の証明が直近5年分必要となりました。具体的には、直近5年間続けて300万円以上の収入があることがひとつの目安と言われています。ただし、これは扶養者がいない場合ですので、扶養者ひとり増えるごとに約80万円ほどの追加年収が必要だと言われています。また、安定した「収入」が求められるため、申請時点での貯金額についてはあまり考慮されない(貯金が数百~数千万あっても不許可になる例が少なくない)のも永住申請の特徴です。

2019年7月より年金・保険料の納付に関しても遅れなく支払うべき公的義務として明記され、原則直近2年間の年金・公的保険の保険料の支払いに関する証明資料の提出が必須となりました。また、証明資料の提出は直近2年間のみですが、それ以前の支払状況に関しても審査範囲とされることが分かっています。永住申請を検討するのであれば、過去の未納分も遡って払える部分はすべて払う必要があり、遡って払えない部分については払えなかった合理的な理由の説明が必要となります。

また、住民税・国税等の支払義務に関しては、以前より永住審査に影響があると言われていましたが、自治体からの強い要望で納税義務を怠っていない証明書類を直近5年分、課税・納税証明として提出することになりました。税金を納めていない者に永住権を認めないという各自治体の要望を考慮したものですので、この国益要件は今後さらに厳しくなる可能性があります。

永住不許可の原因5選

次に、不許可理由として多いものを紹介します。
専門家にとっては、次のどの不許可原因も必ず二重三重にチェックしてから申請を行うものです。

永住申請は要件や提出すべき書類が複雑であり、また、慎重な審査によって様々なことが明るみになり、方々へ影響を及ぼす可能性があるため自己申請はおすすめできませんが、それでも自己申請をする場合には次のような不許可理由にあてはまっていないか最低限確認してみましょう。

原因
書類に不備がある

もっとも多い不許可原因が書類不備です。申請内容と証拠書類に矛盾点や疑わしい部分があると、それだけで不許可になり得ます。また、疑わしいと判断されて慎重な審査が必要とランク付けされると、来日から現在までの申請や過去提出した書類、日本での活動や実態についても調査が入り、永住不許可だけでなく、その後の更新申請まで通らなくなる可能性があります。書類の整合性が保たれているか、相違点や矛盾点がないか、書くべきことを書き、書くべきでないことを書いていないかなどの判断が、許可と不許可を分けます。

原因
収入が低い

上記でも説明した通り、永住許可の要件のひとつに独立生計要件があります。この内容は「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」と説明されており、具体的には次の2つの要件を満たす必要があります。

  • 生活保護などを受けていないこと
  • 安定した収入があり、自立した生活が見込まれること

生活保護を受けていると、自立しているとは認められないため、生計要件を満たしていないと判断されます。また、国の財政を圧迫しているという考えから、国益要件(国の利益になっていること)も満たしていないと判断されます。これは、年金や税金の減額や免除を受けた場合も同じ考え方で不許可となり得ます。

「安定した収入」とは、原則過去5年~現在の年収が継続して300万円以上あることが許可・不許可を分けるひとつのラインだと言われています。また「自立した生活が見込まれること」とある通り、永住の審査においては現在の貯金額よりも収入面が重要視されています。

この300万円というのは扶養している家族がいない場合の最低ラインの目安であり、扶養家族がいる場合は1人あたり約80万円~100万円ほど、この「年収300万円」のラインに上乗せして考える必要がありますので注意しましょう。

例えば、配偶者を扶養している場合には申請者の年収が300万円では足りず、最低でも300万円に扶養1人分として80~100万円を年収要件に加えた380~400万円程の年収があれば独立生計要件はクリアしていると考えることができます。さらに子供が1人いて扶養している場合には、配偶者+子供で最低でも160~200万円プラスし、360~500万円の年収が望ましいといえます。

以前は60~80万円程プラスすれば良いと言われていましたが、扶養家族1人で360万円くらいだと不許可になる事例が聞かれるようになりました。この上乗せ金額の変化からも、要件が年々厳しくなっているのがお分かりいただけると思います。

扶養人数が1人追加されるごとに必要な追加年収を+80万円と考えて、永住許可に足りる年収を表にまとめていますので、参考にしていただければ幸いです。

扶養人数0人の場合

収入面の要件(目安):年収300万円

扶養家族1人の場合

収入面の要件(目安):年収380万円(300万円+80万円×1人)

扶養家族2人の場合

収入面の要件(目安):年収460万円(300万円+80万円×2人)

扶養家族3人の場合

収入面の要件(目安):年収540万円(300万円+80万円×3人)

扶養家族4人の場合

収入面の要件(目安):年収620万円(300万円+80万円×4人)

扶養家族5人の場合

収入面の要件(目安):年収700万円(300万円+80万円×5人)

原因
年金を払っていない

正確には、「公的義務を適正に履行」することが要件のひとつとなっており、

守るべき公的義務とは次のことを指します。

  • 住民税・国税等の納税義務
  • 公的年金・公的医療保険の保険料の納付義務
  • 入管法上の届出義務

この税金等に関しては、すべて期限内に、支払っている必要がありますが、特に多いのが年金の支払い漏れです。外国人だからという理由で年金を払うことを義務と考えていない方がいますが、国益要件に明記されていますので、払うことは当然として、1日の支払い遅れでも審査に大きく影響します。

過去払っていない年金がある場合には、現在2年間は遡って払えますので、まず直近2年間分すべて納付し、今後最低2年間は年金を期日通り納めてから永住申請を改めて検討しましょう。また、今後の払い漏れ防止のため、コンビニ払いの方は引き落としに設定しておいた方がよいでしょう。

原因
居住要件のリセットに気づいていない

永住許可要件のひとつに、居住要件があります。

これは、「原則として、引き続き10年以上本邦に在留していること」が求められるものですが、要件の内容に「引き続き」とあるように、10年の間継続して在留していると認められることが必要です。たとえば、海外旅行などで数日程度日本を離れるのは問題ありませんが、次の場合などは居住歴がリセットされてしまう可能性があります。

  • 再入国許可の期限を過ぎて海外に滞在してしまった場合
  • 更新申請で不許可となり、出国準備(30日)となってしまった場合
  • いままでに1回の出国で90日以上日本を離れた場合
  • 年間出国日数が合計で100日以上になる場合

このリセットに気づかず申請すると、日本に10年以上いるはずなのに居住要件を満たさないと判断され、不許可となる場合がありますので注意しましょう。

ただし、過去の事例から、このリセットに関しては帰化申請よりは厳密・厳格ではないと考えられます。リセットでもまた再び10年間を過ごさないと許可がでないというわけではなく、例えば100日以上の出国が10年間のうち1年のみであれば、11年目の出国を少なく日本で過ごすことで、次の年に永住許可が認められる可能性は大いにあるというのが弊所の見方です。

また、現在の新型感染症の影響など、やむを得ない事情で日本に帰って来られなかった場合など、上記に当てはまる場合にいままでの居住期間が一概にリセットされるとは言えません。

原因
審査官への説明や疎明が十分でない

必要な説明や疎明が足りずに不許可となるケースも非常に多いです。これは、多くは理由書に何を書いていいか分からないことが原因です。理由書、説明書、反省文、申請書、各種契約書などの作成については、重要なポイントを押さえて審査官に必要十分な情報を伝える必要があります。要件を満たしているにも関わらず、準備不足のために不許可になるのはもったいないことです。後日、自己申請で不許可となった後で専門家が申請した書類を確認すると、不許可リスクを減らし、許可可能性を十分に高められれば、許可となったであろう事案はとても多いのです。

許可の確率は上げられる?

不許可原因はおおきく2つあります。

  1. そもそも永住許可要件を満たしていない場合
  2. 入管審査官への説明や疎明が足りない場合

上記①「そもそも要件を満たしていない場合」については、自己申請でもどんな専門家に依頼しても、許可を得ることはできません。要件を満たしていない状態で許可を取得しようとすると、虚偽の申告をする他ないからです。しかし、要件を満たしているかどうかの判断は専門家であればすることができます。申請人ご自身での判断や身近な人によるチェックでは、フラットに許可可能性を判断するのは難しいものです。許可の要件を満たしているか不安な時は、行政書士などの専門家を活用するようにしましょう。

上記②「入管審査官への説明や疎明が足りない場合」に関しては、許可の確率を最大まで高めることができます。永住審査は失敗しても何回もチャレンジできるから問題ないと思われる方もいますが、永住審査は通常の入国審査や在留資格の変更、在留期間の更新の審査と異なります。詳細な審査履歴や不許可履歴は残りますので、今後の更新等でも不許可の履歴がネガティブに働き、更新すらできなくなる可能性があるのです。特に、要件を満たしているにも関わらず「説明や疎明が足りなくて不許可」というのは、申請人にとって非常にもったいないことです。

ウェブで見つけたフォーマットで書類を作成し、入管ホームページ記載の書類をただ機械的に提出しただけでは不許可リスクが高いといえます。ビザ申請の専門家であれば、「書くべきこと」と「書くべきではないこと」を明確に分け、説明・証明すべきことを満たす書類作成や資料の収集を行い、審査官に誤解を生じさせない十分な情報を与えることができます。永住審査は申請人にとっても、審査官にとっても、最後審査となりうる重要なものです。確実に、かつ、最短で永住許可を得るために、費用を惜しまず、ぜひ専門家を頼ることをおすすめします。

今日のおはなし