永住申請に必要な課税・納税証明書の種類とそれぞれの取得方法とは

永住申請に必要な課税・納税証明書の種類とそれぞれの取得方法とは

今日のおはなし

厳しくなった税金関連の審査

2019年7月から永住許可のガイドラインが新しくなり、それ以前に増して要件を満たすことが難しくなりました。
具体的に、永住申請者にとって厳しくなった要件は以下の通りです。

  • 原則直近5年分の住民税の課税・納税証明書を提出することになった(以前は3年分)
  • 公的義務を適正に履行していることとして、年金や保険料の納付が審査対象であることが明記された

課税・納税証明書を提出することにより、住民税の納付状況と年収要件を満たしているかを審査されます。永住申請者は安定した収入を継続的に得て生活していることを求められていますが、この安定性を判断するため、直近3年分だった年収実績の証明が直近5年分必要となりました。

この住民税・国税等の納付状況に関しては、以前より永住審査の許可不許可に大きく影響があると言われていましたが、自治体からの強い要望で納税義務を怠っていない証明をする期間が拡大された経緯があります。税金を納めていない者に永住権を認めないという各自治体の要望を考慮したものですので、この国益要件は今後さらに厳しくなる可能性があります。

また、2019年7月より年金・保険料の納付に関しても遅れなく支払うべき公的義務として明記され、原則直近2年間の年金・公的保険の保険料の支払いに関する証明資料の提出が必須となりました。証明資料の提出は直近2年間のみですが、それ以前の支払状況に関しても審査範囲とされることが分かっています。永住申請を検討するのであれば、過去の未納分も遡って払える部分はすべて払う必要があり、遡って払えない部分については払えなかった合理的な理由の説明が必要となります。

永住申請の必要書類(一覧)

まず、申請人がご自身で永住申請をする場合の基本的な必要書類をご紹介します。

タブの切り替えで、配偶者ビザの場合や高度人材・高度専門職の場合の基本的な必須書類について見ることができます。
また、各項目をクリックすると、それぞれの資料の詳細を確認することができます。

上記はあくまで基本的な提出書類ですが、
どのパターンの場合でも、「所得や納税状況を証明する資料」と「公的年金・公的医療保険料の納付状況を証明する資料」は提出が必須となっています。

※高度人材以外の在留資格でも、ポイント計算した結果高度人材外国人とみなされれば、高度専門職の資格を経ずに「みなし高度人材」として永住申請ができますが、みなし高度人材については必須書類が若干異なります。

詳しく知りたい方はこちらの記事から必須書類をご確認ください。

所得や納税状況を証明する資料(課税証明書・納税証明書)について

課税証明書・納税証明書について種類と取得方法などを詳しく見ていきましょう。

住民税
住民税の課税証明書・納税証明書

1年間の総所得と納税状況が記載された書類の提出が必要です。
具体的には以下の資料を準備しましょう。

  • 原則、直近5年分の住民税の課税証明書(又は非課税証明)
  • 原則、直近5年分の住民税の納税証明書
原則&特例提出書類の納税証明期間
原則直近5年分
日本人の配偶者等直近3年分
永住者の配偶者等直近3年分
高度人材ポイント70点以上の場合直近3年分
高度人材ポイント80点以上の場合直近1年分
提出する住民税の課税・納税証明の期間
課税・納税証明書はどこで取れますか?

課税・納税証明書は、それぞれの年度の1月1日時点で住んでいた場所の市役所(区役所)で取ることができます。
例えば、令和3年1月1日に東京都世田谷区に在住していた場合、令和2年度の課税・納税証明書は世田谷区役所で取得します。

課税納税証明の発行手数料はいくらですか?

自治体によって異なりますが、1通200~300円のところが多いです。なかには、無料としている自治体もありますので、各市役所(区役所)へ確認が必要です。役所へ行く時間がない場合などのために、ほとんどの役所で郵送請求ができますが、通常はゆうちょ銀行や郵便局の窓口で「定額小為替」を購入する必要があります。その自治体が用意している交付申請書、本人確認資料、返信用封筒などの必要書類と一緒に同封し、支払うことになります。(切手や印紙での支払いは不可)。なお、自治体によっては現金書留での現金支払いを認めているところもありますので、こちらも予め役所に問い合わせが必要です。

発行手数料自体は数百円なのですが、課税証明書と納税証明書をそれぞれ、証明しなければいけない人数分×各年度分の証明(原則5年)が必要なので、意外に費用がかかります。また、返信用封筒の切手も返信される枚数によっては費用負担が多くなりますので、あらかじめ計算しておくと良いでしょう。

課税証明書・納税証明書で何を審査するのですか?

申請者が年収要件を継続して満たしているかどうかが審査されるとともに、住民税に未納がなく、納期を守って納税しているかどうかが審査されます。

5年分の住民税の課税証明書・納税証明書を市役所に請求しましたが、課税証明書は最長で過去4年分、納税証明書は最長3年分しか発行できないと言われました。どうすれば良いですか?

自治体によっては5年分の発行ができないところもあります。このような場合には、出来る限りの年数の住民税の課税証明書・納税証明書を取得し、説明書等で「直近5年分の証明書を○○市役所に請求しましたが、過去5年分すべての発行を受けることが出来ませんでした。左記市役所にて発行できる最長年限である、直近4年分の課税証明書及び直近3年分の納税証明書を提出いたします。」といった具合に説明書きを加えておきましょう。

そもそも提出分は原則直近5年間ですが、来日から現在まですべての期間が審査対象となりえます。証明書を発行できなかった場合でも、入管側で過去の納付状況を調べることができますので、住民税をしっかりと払ってきたのに発行してもらえなかった場合には、以上のように一筆添えておけば問題ありません。

住民税が会社から天引きされていない場合には、どのように納付を証明すればよいですか?

永住申請者が会社員で住民税の納付形態が特別徴収(給料からの天引き)の場合は住民税の納税義務の履行については問題となりませんが、直近5年間で住民税が給料から天引きされていない期間がある場合には、住民税をご自身で適正な時期に納めていることを証明する資料が必要となります。

引き落としであれば「通帳のコピー」、コンビニ払いであれば「領収証書のコピー」で証明しましょう。

コンビニで納期限内に住民税を現金納付していましたが、領収書を紛失しましたどうすれば良いですか?

役所へ相談しましょう。対応は各自治体によって異なりますが、事情を話せば納期限内に納税していることの証明を発行してもらえる場合があります。説明書・理由書内で審査官への説明を忘れずにすることも重要です。

銀行引落しにて住民税を払っていましたが、通帳を紛失しました。どうすれば良いですか?

各銀行へ出入金取引明細(銀行により呼び名は異なります)の発行を依頼しましょう。銀行によって、発行に手数料がかかる場合があります。

長年記帳していなかったため、合計記帳されてしまいましたが、このページのコピーを提出すれば良いですか?

合計記帳となり、取引履歴が省略されてしまった場合には、納期限を守って支払っている(引き落とされている)ことが証明できませんので、この場合も、出入金取引明細の発行を銀行に依頼してください。

勤務先の会社では、特別徴収の制度がありません。コンビニ払いと銀行引き落とし、どちらが永住審査に有利ですか?

納期限を守っていれば、納付方法はどちらの方法でも構いません。ただし、納税義務に関しては審査が非常に厳しいので、1日でも払い遅れがあるとそれだけで不許可リスクが高くなります。永住審査は納税だけでなく、あくまで総合的に判断されるものですが、1回の支払漏れによって再度5年間の納税実績を積み上げなければならない、といったことになりかねません。うっかり期日を過ぎてしまうことがないよう、銀行引落しを強くおすすめします。また

納期限を守っていれば、納付方法はどちらの方法でも構いません。ただ、納税義務に関しては審査が非常に厳しいので、1日でも払い遅れがあるとそれだけで不許可リスクが高くなります。

コンビニ払いの場合、支払い遅れが発生しやすいですし、領収書を5年分保管しておくのは大変です。また、紛失する恐れもあります。永住審査は納税だけでなく、あくまで総合的に判断されるものですが、1回の支払漏れや納税の証明ができないことによって再度イチから納税実績を積み上げなければならない、といったことになりかねません。うっかり納期限を過ぎてしまうことがないよう、弊所としては、銀行引落しを強くおすすめします。

海外で長年結婚生活を送り、その後「日本人の配偶者等」の資格(在留期間3年)を得て来日し、日本での生活がちょうど1年を経過しました。課税・納税の証明は1年分しかできませんが、永住申請できますか?

日本での生活が1年経過した時点で「婚姻3年+日本居住1年」の要件を満たしているのであれば、課税納税証明について1年分の証明で永住申請が可能です。ただし、配偶者である日本人と同時入国なのか、現在扶養に入っているのか、他の要件を満たしているかなどの個別の事情によってもご提案が変わってきますので、ぜひ一度ご相談ください。

国税
国税の納税証明書

国税の納付状況を証明する資料として納税証明書の請求をしますが、こちらは住民税とは扱いが異なり、未納がないことを証明するものですので、対象期間の指定は不要です。

証明書請求手順
住所地を管轄する税務署を確認しましょう

国税の納税証明書は、市役所や区役所ではなく、住所地を管轄する税務署に請求します。
まずは、下のリンクから、管轄する税務署を確認しましょう。
管轄税務署の確認はこちら

証明書請求手順
専用用紙をダウンロードしましょう

国税の納税証明書は専用の申請書を使って請求します。下のリンクから用紙をダウンロードして、請求の準備をしましょう。
納税証明書交付請求書の様式はこちら

証明書請求手順
納税証明書交付請求書に必要事項を記入しましょう

証明書の種類はその3をチェックします。「その3」とは選択した税目について、証明日時点において未納の税目がないことを証明するものです。そして、永住申請において、未納がないことを証明しなければいけない税目は次の5つです。

永住申請に必要な税目
  • 源泉所得税及び復興特別所得税
  • 申告所得税及び復興特別所得税
  • 消費税及び地方消費税
  • 相続税
  • 贈与税

納税証明書交付請求書には、「源泉所得税及び復興特別所得税」「相続税」「贈与税」のチェック欄がないため、
証明を受けようとする税目の(  税)という自由記述欄にこれらの税目を記入する必要があります。

なお、通常雇用事業主に求められる「源泉所得税及び復興特別所得税」や、消費税を納付する事業主に求められる「消費税及び地方消費税」についての「未納がないこと」は通常、サラリーマンには関係ないことが多いですが、すべての税目について未納のないことを求められていますので、上記のとおり請求をする必要があります。

国税の納税証明(各税目についての解説)

税目
源泉所得税及び復興特別所得税

源泉所得税とは、会社が従業員個人に代わって国に治める所得税のことです。給与所得についてがイメージしやすいですが、利子や配当、個人士業への報酬など特定の所得については、それぞれの徴収税額の計算方法に従って、源泉所得税を徴収することになります。源泉所得税を徴収する際に合わせて徴収する税を復興特別所得税といい、「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」に基づいて課税されています。

税目
申告所得税及び復興特別所得税

確定申告をもとに課税される所得税のことです。「東日本大震災からの復興を図るための施策に必要な財源を確保するため復興特別所得税」を所得税と併せて申告・納付することとされています。

税目
消費税及び地方消費税

商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して課税される税金で、実質的には消費者が負担しますが、納税義務は事業者(個人事業者と法人)にあります。現在の消費税率である10%は、国の歳入となる消費税と地方自治体の財源となる地方消費税を合わせた税率となっています。

税目
相続税

亡くなられた方から引き継いだ財産に応じて課税される税金のことです。具体的には、相続財産の総額から基礎控除額を引いた残りの金額に応じて課税される仕組みとなっています。

税目
贈与税

個人から財産をもらったときにかかる税金で、生命保険金を受け取った場合や債務免除により利益を受けた場合などにも、贈与とみなされて贈与税がかかります。

公的年金・公的医療保険の保険料納付状況を証明する資料について

年金や健康保険の支払については、「ポイント80点以上の高度人材・高度専門職」を除いて、直近2年分の保険料納付状況がわかる資料が必要です。

原則&特例提出書類の納付証明期間
原則直近2年分
日本人の配偶者等直近2年分
永住者の配偶者等直近2年分
高度人材ポイント70点以上の場合直近2年分
高度人材ポイント80点以上の場合直近1年分
提出する年金・健康保険料の納付証明期間

ここでは、原則の場合の証明資料について詳しく説明していきます。

年金保険料の納付状況を証明する資料

直近2年で加入していたのが国民年金なのか厚生年金なのかによって、提出する資料が異なります。

直近2年間すべて厚生年金等加入の場合

ねんきんネット内「各月の年金記録」の印刷画面

直近2年間で国民年金加入時期と厚生年金加入時期が両方ある場合

ねんきんネット内「各月の年金記録」と「国民年金の年金記録(各月の納付状況)」の印刷画面+国民年金加入期間分の国民年金保険料領収証書の写し

直近2年間すべて国民年金加入の場合

直近2年間(24月分)の国民年金保険料領収証書の写し

ねんきんネットはこちらから登録できます。

※上記「各月の年金記録」印刷画面は、全期間の年金記録情報が表示された「ねんきん定期便」でも代用可能ですが、毎年送付されるハガキ形式のねんきん定期便は全ての期間分が確認できないためNGです。全期間分のねんきん定期便は、日本年金機構に請求することで封書で届きますが、申請から交付までに2か月程度かかるため、弊所ではおすすめしていません。

※国民年金加入の場合で国民年金保険料領収証書がない場合には、その理由を記載した理由書が必要です。弊所にご相談ください。

年金にまつわるFAQ
厚生年金と国民年金の両方に加入していました。ねんきんネットの印刷ではなく、被保険者記録照会回答票でも良いですか?

「被保険者記録照会回答票」のほか、「被保険者記録照会(納付Ⅰ)」と「被保険者記録照会(納付Ⅱ)」の提出が必要です。年金事務所で発行してもらいましょう。

過去2年間厚生年金に加入していました。ねんきんネットの印刷ではなく、被保険者記録照会回答票でも良いですか?

過去2年間すべて厚生年金に加入していたことがわかれば、年金納付についての書類は被保険者記録照会回答票のみで足ります。

被保険者記録照会(納付Ⅰ)とは何ですか?

年金の納付日(収納年月日)が記載された資料です。過去の年金の未納を遡って一括で支払った後で年金事務所から発行された被保険者記録照会では、遅れて支払ったという情報が載っていないため、「納付Ⅰ」が必要となります。

被保険者記録照会(納付Ⅱ)とは何ですか?

年金に関する納付状況等が「/」や「*」などの記号やアルファベット、カタカナで示された通知書です。
「*」は未納を意味しますが、納付期日が来ていない場合も「*」となっています。「納付Ⅱ」を添付する場合には誤解されないよう、期日が来ていない「*」についてはその旨説明しておきましょう。

その他の記号の意味を確認する

年金の情報の提出は直近2年分とありますが、普通に印刷すると全期間分が印刷されてしまいます。

全期間が印刷されたものを提出しましょう。

過去2年間で未納や納付遅れがあると高確率で不許可になりますが、直近2年間払っていれば年金の要件はクリアかというと、そうではありません。それ以前の納付状況も審査対象範囲内だからです。永住審査は長期に及ぶものなので、審査期間内には入管から年金事務所に確認が入ると思っておいたほうが良いでしょう。また、過去に納付遅れがあったからといって確実に不許可になるというわけでもありません。永住審査は総合的に判断される余地がありますので、ご不安な場合にはぜひ一度ご相談ください。

海外で3年結婚生活を送り、その後「日本人の配偶者等」の資格(在留期間3年)を得て来日し、日本での生活がちょうど1年を経過しました。年金の証明は1年分しかできませんが、永住申請できますか?

日本での生活が1年経過した時点で「婚姻3年+日本居住1年」の要件を満たしているため、年金については1年分の証明で永住申請が可能です。

年金や保険料の減額や免除が認められている場合は永住申請に影響はありませんか?

減額や免除申請が認められている期間については、未払いや納付遅れとはみなされませんが、減免申請自体、生計要件を満たしていないと判断され、永住審査にはネガティブな影響を与える可能性があります。なお、学生特例の免除申請であれば、過去に減免申請をしていてもその期間についてはあまり問題になりません。

公的医療保険料の納付状況を証明する資料

国民保険・社会保険については、直近2年分の保険料納付状況がわかる資料が必要です。
直近2年で加入していたのが国民保険なのか社会保険なのかによって、提出する資料が異なります。

2年前から今までずっと社会保険等加入の場合

健康保険証のコピー

直近2年間で国民健康保険加入時期と社会保険加入時期が両方ある場合
  1. 現在の保険証のコピー
  2. 国民健康保険料(税)納付証明書(直近2年分)
  3. 国民保険加入時期の国民健康保険料(税)領収証書のコピー
2年前から今までずっと国民健康保険加入の場合
  1. 国民健康保険証のコピー
  2. 国民健康保険料(税)納付証明書(直近2年分)
  3. 直近2年間(24月分)の国民健康保険料(税)領収証書のコピー
今日のおはなし