夫婦別居状態でも永住申請はできるの?離婚した場合はどうすればいい?
夫婦別居状態でも永住申請はできるの?離婚した場合はどうすればいい?
夫婦別居状態でも永住申請はできるの?
日本人の配偶者や永住者(特別永住者)の配偶者には、永住申請の要件緩和が認められています。
具体的には、実態のある結婚生活が3年以上継続していれば、引き続き1年以上日本に在留していることで永住許可の国益適合要件のひとつである「居住要件」を満たすことができるのです。
原則&特例 | 日本居住要件 |
---|---|
原則 | 10年以上 |
日本人の配偶者 永住者の配偶者 | 1年以上(+3年以上の婚姻生活) |
日本人の実子 永住者の実子 | 1年以上 |
日本人の特別養子 永住者の特別養子 | 1年以上 |
「引き続き」とあるように、日本に継続して在留していると認められることが必要です。たとえば、海外旅行などで数日程度日本を離れるのは問題ありませんが、長期の出張があったり、本国へ出産のために帰省した場合などには、居住歴がリセットされてしまう可能性があります。以下に該当すると、引き続き日本に在留しているとは認められずに、居住年数がリセットされてしまう可能性があります。
- 1回の出国で90日以上日本を離れた
- 年間出国日数が合計で100日以上となった
ただし、永住申請は帰化申請より厳格ではなく、リセットでもまた再び居住要件を1から満たさないといけないというわけではありません。1年での出国が120日程度であれば、理由次第でリカバリー可能な場合もあります。また、コロナウイルス感染症などの事情で日本に帰って来られなかった場合など、一概にその期間がリセットされるとは言えません。申請の際には、審査官への説明を理由書等で明確に伝えるようにすることが重要です。
では、配偶者ビザを持って結婚してから3年経過し、日本に1年以上住んでいるけれど、現在「夫婦別居状態」の場合には、特例を使って緩和され要件のもと永住申請ができるのでしょうか?
配偶者ビザからの永住申請は居住要件が10年⇒1年と大幅に短縮される特例が使えるため、いままで偽装結婚などで悪用も相次ぎました。そのため現在の配偶者ビザから永住ビザの申請については慎重で厳格な審査が行われ、特に「実態を伴った婚姻」が強く求められています。
基本的に、配偶者ビザをもつ外国人にはその夫・妻と同居することが求められており、婚姻関係の破綻や離婚する予定があったりする場合には、原則配偶者ビザからの特例で永住ビザを取ることは認められていません。
つまり、社会的(法的)に婚姻状態であることに加えて、日常的な実態として婚姻状態があることの両面から審査されますので、どちらかが欠けていると判断された場合には、不許可となってしまいます。
現代では同性パートナー制度の検討が進み、内縁関係なども広く市民権を得たりと、昔に比べていろいろな形の関係性が認められるなど婚姻後の夫婦関係も多様化しています。しかしながら、まだまだ結婚したのに別居していないというのは一般的ではありません。
ビザ申請の審査においては、一般的とされるパターンに当てはまらない場合、永住審査で疑義が生じる恐れがあり、それに対する十分な説明がない場合には追加で資料提出や説明を求められたり、最悪の場合はそのまま不許可になったりします。
内縁の妻・夫については法的に婚姻状態であることを満たしていませんし、別居している場合には実態としての婚姻状態がないのではないかと審査官に疑われる原因となってしまうのです。
実態調査としては近所への聞き取り調査や配偶者である日本人の職場や親族への調査など、さまざまな面から慎重な審査が行われますので、別居しているのに一緒に住んでいるという虚偽の申請はできません。また、虚偽でない婚姻生活を送っているのに虚偽だと疑われ、不許可となるのはもったいないことです。
やむを得ず単身赴任している場合などは自分から合理的な説明を行い、別居でも十分な婚姻生活の実態があることを提出資料と理由書などでしっかりと審査官に伝えるようにしましょう。
離婚した場合はどうすればいい?
永住申請前に離婚してしまった場合には、配偶者ビザによる特例を使って永住申請をすることはできませんので、就労系のビザか定住者等のビザに切り替えて、原則通りに永住許可のための要件を満たす必要があります。
永住審査中(永住申請後~審査結果が出るまでの間)に配偶者と離婚してしまったり、死別してしまった場合には、速やかに入管に報告をすることになります。これは、永住申請の際に「了解書」という書面にて誓約している内容になるため、入管に報告する実質的義務があります。
なぜ永住申請後の離婚等を入管に報告しなければならないのでしょうか?
家族の状況に変化があると、扶養関係なども変わり、審査に影響が生じます。そして、最も問題があるのは、上記居住要件の特例を使って永住申請をしている場合です。
「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の配偶者ビザから永住申請をしている場合、原則10年日本に継続して住んでいなければならないという居住要件が最短1年になり、さらに、配偶者の場合には永住許可の3要件のうち2つ(素行善良要件と独立生計要件)が問われなくなるなど、大幅に要件が緩和されます。
この特例は、「日本人や日本の永住権を持っている方と結婚生活を送っているのだから、日本に生活基盤があるのは明らかなので、安定して日本に住める状態をつくってあげるべき」という考え方に基づいていますので、離婚・死別した場合には、この前提が崩れることになります。審査にもかなり重大な影響を及ぼすはずなので、連絡が必須となるわけです。また、このような必要な連絡をしなかった場合には、永住権を許可された後であっても永住権が取消される可能性があることも了解書に記載されています。
もちろん、死別や色々な事情により離婚したのであればやむを得ませんが、入管への連絡だけは忘れずにするようにしましょう。
また、同居していた家族と別居することになった場合や、逆に同居する方が増えた場合なども連絡する必要があります。永住申請は、特に慎重な審査が行われますので、聞き取り調査や訪問調査も行われることがあります。申請書や提出書類の内容と実態が一致している必要がありますので、書面上は住んでいないはずの人が住んでいたり、同居しているはずの配偶者がいないので、婚姻生活の実態がないのではないか?などと疑われないよう、何か変更があればすぐに連絡することが重要です。