永住申請に履歴書は必要?

永住申請に履歴書は必要?

今日のおはなし

永住申請に履歴書は必要?

永住申請にはさまざまな必要書類を提出する必要があります。役所などで取得してもらったり、申請書を提出して後日郵送で届いたり、あるいは申請書や理由書のように自ら作成しなければいけない資料もあります。

帰化申請時には必須となっている資料で、永住申請の必要資料としては法務局や出入国在留管理庁ホームページに載っていないもののひとつが履歴書です。

履歴書は必須ではないですが、申請書内の経歴欄(学歴・職歴を記載する欄)だけでは、十分な情報を伝えきれないことが多いため、弊所を含む多くの専門家が申請する際には、別途「履歴書」を作成して提出しています。

永住許可申請書の経歴欄には、括弧書きでこのように書かれていますので、別紙に記載することが想定されています。

今回の入国後の学歴・職歴、本欄で記入できない場合は別紙に記載

永住許可申請書(別記第三十四号様式)より抜粋

審査官にとっても学歴や職歴が経歴欄の同枠に羅列されているよりも、履歴書として別紙で添付されていた方が見やすいと思われます。審査がスムーズにいくように申請者側で工夫することで、審査期間の短縮にもつながるはずです。

学歴・職歴が各ひとつずつくらいしか書くことがなければそのまま申請書に書いても問題ないですが、「経歴欄には書ききれない」「経歴欄に書くとごちゃごちゃして見づらい」と感じたら、迷わず履歴書を活用しましょう!

永住申請の履歴書はどう書けばいいの?

永住許可申請書内の経歴欄に学歴・職歴が書ききれない場合、別途「履歴書」を作成することになります。では、履歴書はどのような内容を書けばよいのでしょうか?

通常の就業先(アルバイト)などの際に出す「履歴書」と同じようなもので結構ですが、外国人用のものだと、本籍などを記載する欄があるので、良いかもしれません。職務経歴書のような業種・職種について詳細を記述するものでなくても全く構いません。

通常は、以下の情報が網羅できていれば様式や配置はどんなものでも問題ありませんし、ワードやエクセルでご自身で作成したものでも構いません。

  • 氏名
  • 性別
  • 生年月日
  • 本籍
  • 現住所
  • 連絡先電話番号
  • 緊急連絡先
  • 学歴欄
  • 職歴欄
  • 免許資格欄

注意点としては、永住許可申請書の経歴欄の内容に「別紙記載」と書いて、履歴書が添付してあることを審査官に伝える必要があります。空白のまま提出してしまうと、学歴・職歴について、追加で質問を受けたり、やましいことがなにもないのに、「学歴・職歴について何か隠しているのでは?」とあらぬ疑いをかけられて審査上不利に働く可能性も考えられます。

また、経歴欄として求められていることは、別紙にまとめて記載した方が良いでしょう。具体的には、以下についても、履歴書内に記載しておきましょう。

  • 日本に入国した日
  • 入国後の通算滞在年数
  • 婚姻年月日(結婚している場合)

婚姻年月日は、日本の役所に婚姻届けを提出した日です。内縁関係にあるなど、法的な婚姻状態でない場合には、理由書などには記載しても良いですが、経歴欄やこの履歴書内での記載は不要です。

履歴書を別紙で書くことには、メリットもあります。通常の履歴書には、「保有資格」や「特技」を書く欄がありますので、ここで保有資格を書くことで、審査官にアピールができます。日本語能力や学歴などを示す証明書など、証明資料として必要な書類については提出資料として用意していると思いますが、例えば民間資格など、日本が好きだからこそ取っている資格や、日本文化に根付いた特技などは、プラスに働くことはあってもマイナスにはならないので、このような記入欄を利用してアピールしても良いと思います。また、使える言語などを記載しても良いですし、情報処理関係の資格や金融関係の資格は将来的に日本にとって有益となり得るのでアピールできる部分です。また、自己PR欄も用意されている履歴書がほとんどだと思うので、そのような欄を利用して理由書での記載とはまた違う日本永住への熱意を書き記しても良いでしょう。

このような記入欄は永住許可申請書の経歴欄には用意されていないので、別紙の履歴書だからこそできる有効な活用方法だと言えます。

帰化申請では履歴書が必要

履歴書を別途用意した方が審査官にとって親切であり、審査がスムーズに進む可能性も考えられるため、弊所ではビザ申請の際には、履歴書を別紙で書くことを推奨していますが、永住申請では履歴書は必須ではありません。

たとえば、学歴・職歴について1~2つずつしか記載の必要がなければ、そのまま永住許可申請書に書いても全く問題はありません。ただし、帰化申請おいては、法務省指定の決められた様式で、履歴書を書く必要があります。

また、2022年7月からこの履歴書の様式についても若干の変更がありました。

帰化申請の履歴書の場合には、いくつか細かいルールがあります。

履歴書(その1)には、帰化申請者の居住関係、学歴・職歴、身分関係についてを1枚の紙で、出生から現在に至るまで時系列で順に記入します。年月日は空白期間がないように詰めて記入します。なんとなく書き始めると、順番の前後が誤っていることに後から気づいたりするので、一度、時系列で並べて整理しておかないと難しい作業です。

履歴書(その2)は、出入国歴、技能・資格、使用言語、賞罰を記載します。使用言語欄は以前(2022年7月以前)までの履歴書にはなかったので、それ以降に申請する方は

履歴書(その2)は、出入国歴、技能・資格、使用言語、賞罰を記載します。使用言語欄は以前(2022年7月以前)までの履歴書にはなかったので、それ以降に帰化申請する方は新しいフォーマットを使用するようにしましょう。

他にも帰化申請の履歴書の場合には、以下のような厳格なルールがあり、記入方法には注意が必要です。

履歴書(その1)の注意点

年号は和暦で書く!

年月日欄の「年」には昭和、平成、令和など、日本の元号で記入する必要があります。

引越しは「移転」!

居住関係欄には住所の履歴などを書きます。引っ越したことがある場合には、「○○に移転(**年**月**日)」と書きます。現住所に引っ越した最後の引っ越しの場合には、「○○に移転(現在まで)」と書きましょう。

学歴は小学校から!

学歴欄には小学校から大学・大学院まですべての学歴を記入する必要があります。大学・大学院については学部・学科まで書きます。通常の履歴書と同様、○○小学校入学⇒同行卒業⇒△△中学校入学⇒同行卒業⇒□□高等学校入学…という形でつなげていきます。

本国の職歴やアルバイトも!

職歴欄には、入社した企業名と、部署名(部や課)も書き、担当、役職も記入します。名前だけではどういった業務なのか伝わりにくいものに関しては説明が必要です。本国での職歴やアルバイト歴もすべて記入します。

身分関係について

身分関係欄には、ご家族の出生、結婚・離婚、死亡について書きます。父母の死亡や子(長男・長女・次男・次女なども記載)の出生について記入します。

履歴書その2の注意点

出入国歴は出入国記録を確認しながら書こう!

出入国歴欄には、原則5年分の出入国歴を記載します。間違いがないように、出入官在留管理局宛てに保有個人情報開示請求書で外国人出入国記録を請求しましょう。請求してから取得できるまで、結構時間がかかりますので、帰化申請を検討するのであれば、早めに請求を行いましょう。

期間も和暦で書こう!

期間欄も、履歴書(その1)と同様、「年」を書くところがありますが、やはり西暦NGなので和暦で書く必要があります。

日数はうるう年に注意!

出国日数を記載します。月をまたぐ場合には、30日なのか31日なのかで日数が変わってきますので注意が必要です。特に2月はうるう年を考慮にいれる必要があります。

渡航先は国名を書こう!

渡航先には国名を書きます。日本に帰らずに外国からそのまま他国に渡った場合には、複数の国名を続けて書きましょう。

目的、同行者等欄は誰と何をしたか!

誰と何をしにその国に行ったかを書く欄です。妻と旅行なのか、上司と出張なのか、簡潔に記載しましょう。

総出国日数の記入漏れに注意!

記入漏れが多い箇所です。計算を間違えたり、その他の書類と矛盾・相違がないように確認しましょう。

技能・資格は詳細に!

技能・資格欄は、取得した国家資格などの情報を書く欄です。年月日は和暦で書き、資格の正式名称と登録番号等を書きます。自動車免許を持っている場合、この欄に記入しましょう。免許番号も忘れずに記載が必要です。

新たに設けられた新しい欄!

使用言語欄は2022年7月から新しく設けられた欄です。日常生活で主にコミュニケ―ションを取る際に使用する言語を記入しましょう!

賞罰の記入は正確に!

賞罰欄には、褒賞や刑罰の内容を記入します。

刑罰はもちろんのこと、交通違反でも書く必要がありますが、過去5年間の詳細な違反歴については運転記録証明書(運転経歴に係る証明書)で確認できます。

各都道府県の自動車安全運転センター事務所か警察署、交番、駐在所などで請求書を取得し、自動車安全運転センターで直接発行手続きをするか、手数料を添えて最寄りのゆうちょ銀行・郵便局から申し込むことで、後日郵送にて証明書を取得できます。罰や違反については内容や回数などが慎重に審査されますので、取得した運転記録証明書を見ながら正確に記入することが重要です。

確認欄は空白のまま!

確認欄には何も記入せず、空白のまま提出しましょう。

ここまで帰化申請の際の履歴書について説明してきました。かなり細かくルールが指定されていますので、注意書きやルールをよく理解した上で記入を始めないと、何度も法務局に足を運ぶことになってしまいます。

一方で、永住申請の際の履歴書は、あくまで永住許可申請書内の経歴欄の補足的なものです。記入方法について帰化申請ほど厳しいものではありません。記入形式も自由ですし、年月日を西暦で書いても受理してくれます。

永住申請の履歴書は自由に書けるからこそ、見やすさを重視して、アピールをしっかりと行い、審査官にスムーズに審査してもらえるよう心がけましょう。

まとめ

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